セラピーやヒーリングなどを受ける際、
施術者に「受け入れてもらう」ことを求めている人は
多いのではないかと思います。
自分がどんなに人を傷つけるようなことを
これまでに言ったりやったりしていても、
どんなにネガティブなことばかり考える人間であっても、
受け入れて欲しい。
家族や友人、職場の人間関係の中で展開される
日常的なコミュニケーションでは、
「善悪」の価値判断に基づいた評価や批判が
溢れがちですから、
セラピーと言う特殊な体験においてはせめて、
相手に受け入れてもらうことで
安心感と安全を感じたい、
そう願うのは当然かも知れません。
セラピストやヒーラーなどの
施術者として訓練を積んで行くと、
クライアントをジャッジせずに見守る姿勢を
保てる様になります。
ジャッジをしないと言うことは、
クライアントの言動のすべてを
善悪の判断を加えることなく
ニュートラルに捉えると言うことです。
こうした姿勢を見て
「受け入れてもらっている」のだと
受け取る方は多いかも知れませんが、
それは違います。
施術者の「ニュートラルに見守る」姿勢は
「受け入れる」こととは異なるからです。
ありのままのあなたを「受け入れる」ことが出来、
またそうする必要があるのは、
施術者ではなくあなた自身です。
施術者は、
あなたがあなた自身をありのままに受け入れられるよう
時には導いたり伴走したりしながら
サポートする役割を担っているのであって、
あなたが自分では受け入れられていないあなたを、
あなたに代わって受け入れてくれる存在ではありません。
もし仮にそうであったとしたら、
その場合にはあなたが求めている安心や安全が
あなたの手に入るどころか、
あなたは施術者に
自分の力を明け渡してしまうことになります。
力を明け渡すとは
どう言うことかと言うと、
例えば
施術者が受け入れてくれていると感じると、
いつでもそうした反応を期待するようになります。
やがて無意識の内に、
施術者から良い反応を引き出せるように
あなたは自分自身の言動を
相手に合わせるようになるかも知れません。
これは
自分が相手にコントロールされるように
自ら仕向けている状態であり、
自分という存在の大事な「核」を
相手に預けてしまうようなものです。
あなたが本来持っている力を
あなた自身に取り戻せるように。
そう意図してサポートする施術者は、
こうしたカラクリを理解した上で
あなたを「受け入れる」のではなく、
時には冷たい態度に見えることもある
「ジャッジせずに見守る」姿勢を
大切にします。
そして、あなたがこれまで
どんな生き方をして来たとしても、
それは魂の歩んで来た、そして歩んで行く、
長い変化と成長の道のりの過程の一つと理解して、
見守るのです。