意識では覚えていない過去の体験でも、
身体にはその記録が詳細に残っています。

 

過去の楽しく幸せな体験については分かりませんが、
辛さを感じながら無理に行っていたことや、
身の危険を感じたり危機的な状況の中で思わず取った
無意識の防衛反応に関わるものは確実に残っています。

 

その記録は
「緊張」という「物理的な力」を伴う形で、
全身に渡って残されています。

 

緊張と言えば筋肉を連想しますが、
緊張は表層の筋肉だけでなく内臓などの深部にも及んでいて、
身体の内外にまたがる複雑なつながりを作り出します。

 

整体などの施術に通って歪みを整えても
すぐに身体の状態が戻ってしまうことが多いのは、
身体が抱えている緊張が
私たちの想像を遥かに超える複雑さを持って
互いにつながり合っているためです。

 

ですが、どんなに奥深くの複雑な記録も
筋膜を通すことで表層に映し出されるのです。

 

当院では幸運にも、
そうした複雑な記録の中から
今変化させるべきものを身体が選んで
表層に映し出してくれる、
そうした能力を身体が持っていることに
長年の臨床の中で気づく機会がありました。


そのため、
施術はそれを読み取ることで進めて行きます。

 

これは言い換えれば、
身体自身の選択に基づいて、
身体が自分の力で内側から変化を起こして行く
ということです。

 

施術は身体自身が変化の仕方を選ぶので、
変化も身体にとって無理のない形で起きて行きます。

 

 

筋膜は身体中をくまなくつないでいて、
器官や組織の位置どりを決定づけています。

 

だからこそ筋膜は
身体の中で起きていることを

忠実に映し出すことが出来ます。

 

筋膜は身体にとって
スクリーンや鏡としての役割も
持っていると言えるのではないでしょうか。