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ストッキングみたいな筋膜

筋膜に現れる「人生の地図」

 

 

ストッキングに似ている筋膜

 

筋膜とは、英語でfasciaのこと。

fasciaは筋肉を包む筋膜だけでなく、 内臓なら例えば心臓の心膜や腹部全体を覆う腹膜など、
全身のあらゆる所を包み、そして繋ぎ合わせている膜組織を指します。

当院の臨床では、
体表近くにある筋膜に内臓の状態が投射される現象を観察していますが、
それも全身を一枚の膜で繋いでいる筋膜だからこそ生じる現象です。

筋膜のキーワードを挙げるなら、
包む、つなげる、支える、の3つ。
これらが筋膜の重要な役割です。

全身の様々な器官や組織を大小の様々なレベルで包み、
それらを繋いで身体と言う大きな構造体として、
秩序のある形でまとめている、
つまり身体の構造そのものを支えています。

 

その筋膜に緊張が加わると、どうなるでしょうか?

その部分はぎゅっと固まって凝縮したり短縮したりします。

筋膜には大きな器官が丸ごと包まれています。
包んでいる膜が縮まって硬くなれば、
内包されている器官は圧迫されたり、引っ張られて位置がズレたりもします。

この現象が、痛みをはじめとする様々な症状の原因になります。

膜というと、例えば風船とかゴムなどの
柔らかくて正体がないようなイメージが浮かぶかと思いますが、
筋膜はそれ自体が生き物であるため、通常の膜の概念を軽々と超えます。

なぜなら、たとえ相手が骨や歯だって、
その位置を変えるくらい強力な力を持っている
からです。

そんなに強力な筋膜だと、その緊張を解くのは大変なのでは…。

いえいえ!
緊張の位置を正確に把握できれば、
軽く触れるだけで筋膜は自らゆるみます

なぜなら、生き物ですから。

そして膜がゆるめば、ズレた器官だって自ずと
本来の位置に戻るのです。


筋膜は全身を一つにつないでいるため、
筋膜のどこか一点で緊張が生じると、
それは波紋のように全身に文字通り波及し、影響を与えます。
(そのため、施術では症状のある部位だけではなく
しっかり全体を視る必要があります。)

 

以下のようにイメージしてみて下さい。

ストッキングで出来た身体の形に整形された
全身タイツを着ているとします(笑)

ストッキングのどこかが捻れていても着ることは出来るけれど、
そこは捻じれているのを感じるし、
締め付けられる感じもあって気持ち悪いですよね。

筋膜の緊張によるズレはこの感じによく似ています。

例え捻れが足元で生じたものであっても
それは頭の上の方まで伝わります。
どうでしょうか、何となく想像がつきましたか?

 

どんな小さな緊張も、筋膜を通して全身に影響しています。

一つ一つの緊張を丁寧に解いていくことは、大変です。
でもそれを積み重ねて行くと、
身体全体が本来のあるべき理想的なバランスへと
自ずと戻って行くことになります。

 

 

筋膜に現れる「人生の地図」

 

ある部位に出来た緊張は、必ずと言っていい位
他の部位の緊張と結びついており、
その結びつきは筋膜上で作られると説明しました。

筋膜に出来た緊張と緊張をつなぐ結びつきは、
本当に物理的なライン(線状)となって存在しています。

ラインが通ったその道筋は、
私たちが身体のどことどこをどのように一緒に使っているか、
つまりどうやって身体を使った時に緊張が起きたのかを
物理的な現象として見せてくれます。

施術でアプローチするのは、この緊張が描き出す緊張の道筋です。

この道筋を丁寧に観察すると、
全身にどのような緊張と歪みが生じていたか、
そしてそれが日常的に現れているた症状と
どのように関連していたのかが見えて来ます。

これは一人一人の身体に描かれた、
いわば「人生の地図」を読むという重要な作業だと、
neMu no ki では捉えています。