指圧・マッサージなど、良く知られている手法との違い
指圧やマッサージなどの施術は、
多くの場合が症状のある部位への直接的なアプローチです。
痛みなどに対する対症的な処置とも言えるもので、
症状の軽減を期待することが出来ます。
「痛み」や「症状の生じている箇所」に視点を置いているため、
身体の中で今までの症状や身体の状態がどの様なつながりを持って生じているのかを
この手法だけでは捉えるのが難しいという側面を持ちます。
その為、根本的に身体を改善しようとする際には、
こうした療法を用いる施術者は、別の療法や視点を求めて
更なる勉強を必要とする事が多いようです。
※同じ施術法を土台としていても、施術者の身体に対する理解や捉え方の深さによって、
施術によって生じる効果や結果は大きく左右されます。
どのような療法を選ばれる場合であっても、
ご自身の感覚や考え方と合っていると思われる施術者を探されることが、
一番大切なことだと思います。※
症状の出ている部位は、身体のバランスを維持しようと頑張ってくれている箇所です。
その頑張っているところをほぐすのは、心張棒(しんばりぼう)を外してしまう様なものです。
症状の部位は楽になると思いますが、全体のバランスを考えた時には、
かえって均衡が崩れてしまうことがあります。
身体には、
症状を作りださなくてはならなかった理由がちゃんとあります。
その理由が何なのかを知っているのも、
それをどうしたら改善できるかを知っているのも、
身体自身です。
筋膜によるバランス調整では、全身のバランスを細かく調べた上で、
今現在のバランスの乱れの最も根本がどこにあるのかを把握します。
この根本的な乱れの所在は、その時その時の身体の状態によって
毎回変わります。
本当に身体がアプローチして欲しいと望んでいる根本的な原因の箇所と、
それがその他の部位に与えていた影響とを
施術を通して理解することが出来ます。
筋膜リリース、ロルフィングなど、筋膜を用いる他の施術法との違い
最大の違い
最大の違いは、筋膜を「面」で捉えるか、「ライン」で捉えるか、です。
筋膜とは、骨と筋肉、胴体と内臓など、
身体の各器官のつながりを取り持ち、
身体が私たちのそれぞれの形を保てるように支えてくれている組織です。
ここには、身体のクセの情報が蓄積されます。
こうした、筋膜の持つ能力と役割に関する理解と捉え方は、
筋膜を媒体とする療法の全てが共通に持っている土台と言えると思います。
筋膜全体を引き伸ばす手法
筋膜リリースやロルフィングでは、
筋膜上に残っている緊張(これが、身体の形や動きのクセを作ります。)を、
筋膜を最大限に引き伸ばすことで解消していくようです。
身体の筋膜を最大限に引き伸ばすことで、筋膜の緊張や硬直は緩みます。
緊張が緩むことで、血流やエネルギーなどの流動性も滑らかさを取り戻します。
膜を引き伸ばすことでバランスの変化を促すため、
最後には身体の中心軸を整え、動きの調整をする必要があるようです。
ラインへのアプローチ:
緊張のある組織だけを、ピンポイントにゆるめる手法
筋膜上の緊張をとても微細なレベルで捉えると、
実はライン(紐状)になって生じています。
中には、緊張や硬直した箇所にしこりや塊が生じている場合もありますが、
これもまた、ラインで形成されています。
毛糸玉のように同じところをラインがぐるぐると巻き上がることで、
見かけ上は塊になっています。
neMu no ki の施術では、このラインそのものにアプローチします。
ラインで緊張が生じているため、
全体を伸ばす手法では、緊張の痕跡=ラインは引き伸ばされて薄まりますが、
完全にその痕跡が消えるのは難しいと思われます。
ライン状の痕跡を、水路のようなものだとイメージしてみて下さい。
大地をぐい~っと引き伸ばしても、水路の「道筋」はそのまま残りますよね。
ラインそのものにアプローチ出来ると、
クセの痕跡=水路そのものがなくなります。
その為、身体のクセが根本から変化しやすくなります。
アプローチするラインは施術者が決めるのではなく、
クライアントの身体自身が皮膚の表面にあらわしてくれます。
施術者は、その身体からのサインに追従して施術を進めて行きます。
クセ=緊張は、身体がバランスを維持しようと作り出した、いわば「工夫」です。
施術者が恣意的に「ここの緊張を取れば良いだろう」と判断することは、
身体の都合に合わないこともあるのです。
身体が皮膚の表面にラインを見せてくれる時、
それは身体がすでに手放す準備が出来ているという事でもあります。
身体が示すサインは、身体が求める順番。
それに沿っての施術なので、身体に無理なく変化をしていきます。