臓器を支え、内的感覚を決定づける筋膜

 

 

体験の質を決める「内的感覚」

内的感覚〜私たちの体験の質、
私たちが一つ一つの体験を
それぞれどんなものとして味わうか、

その体験の性質を左右するのが
「内的感覚」です。

内的感覚は身体の基底に流れている
「空気感」のようなもので、
私たちは通常その感覚に無自覚です。

これは言ってみれば、
自分の暮らしている
部屋の雰囲気と同じようなもので、

照明や空間の中の音、
そこに収まっている様々なものの配置によって、
部屋の空気は変わりますよね。

 

体内も同じです。

臓器たちそれぞれの配置
(お互いが気持ちよく
居るべき座標に収まっているか)、

血流や呼吸が作り出すリズムや音、

それぞれの臓器が放つ異なるエネルギー
(これは部屋の照明に該当するもので、
臓器が感じている心地良さに応じて
エネルギーの状態【もしくは周波数】
が変わります。)によって、

身体と言う私たちにとって
最も身近な部屋である体内空間の
空気感が決まります。

 

これが、私たちが
意識で捉えていない内的感覚です。

そして、この感覚の質が、
日常の様々な出来事を
私たちがそれぞれどんな体験として
感じるかを決めています。

内的感覚が安定して
心地よいものであれば、

どのような出来事が起きても
落ち着きと共にいることが容易になり、
様々なことを満足と感謝を持って
受け止め易くなります。

内的感覚に焦りや不安の色彩が
濃厚に含まれていると、

どのような体験に対しても
まずリスクが見えて不安を感じたり、
それによっていつも判断出来ずに
迷ってばかりだったり、

あるいはいつも時間に
追われているように感じがちです。

 

満足感や幸福感、あるいは
不安や焦りの傾向性は、
現代社会では人間性や人格の問題と
捉えられて来ましたし、

そのせいで苦しんで来た方も多いと思います。

ですが、これは真実ではありません。

 

臓器の座標と筋膜

先程、
内的感覚を決定づけるものとして、
臓器の心地よさと
臓器の配置の安定性を挙げました。

筋膜はここに関与しています。

 

ここで言う筋膜とは
広義での筋膜であり、

筋肉だけでなく
体腔を内張りしている腹膜・腹壁・胸膜や、
各臓器も包み込む臓側膜も含めた、
結合組織全体を意味します。

結合組織は体内の全ての器官を包み、
体腔と言う「空間」内での
器官の座標を固定する役割を果たしています。

臓器・器官をあるべき場所に保定し、
全身の構造があるべき配置に保たれるのを
体内から支えている。

それが筋膜の特性であり、
第二の骨格と言われる所以です。

 

体内に収まる臓器たちの位置は、
割と柔軟度が高くて
適当なように見えるかも知れません。

実は違います。

例えば、肝臓には
隣接する腎臓や胃との
接触部位に凹みがあります。

つまり、「ここで腎臓や胃と接触する」
と言う部位が設定されているのです。

肝臓にとっても、
その凹みが腎臓やと胃に触れていれば
しっくり落ち着いて心地良いですが、
これがズレてしまうと…

あなたが肝臓だったら、
かなり居心地悪くて、
ひょっとしたらイライラ
しそうじゃありませんか?^^

 

幾種類もの臓器が、この狭い体腔内に
ひしめき合って収まっているのですから、

上手に整理されて、更には
安定して固定されている必要があるのです。

先程「臓器の座標」
と言う言葉を使いましたが、

それは私たちが想像している以上に、
臓器たちの居場所がそれぞれ
厳密に決まっていることを
お伝えしたかったからです。

とは言え、
ガッチリ動かないほど固く固定したら、
臓器そのものも動けません。

呼吸に伴って
自由に動くはずの横隔膜が、
肝臓や腎臓にガッチリ挟まれて
動けない…!

なんてことになってしまいます。

 

臓器同士が、
互いに占めるべき場所を
尊重して守りつつ、

その位置関係を保ったまま
体内が整然と収まっている。

そうやって整然としている時には、
臓器たちは寛いで
自由な感覚でいられるため、

本来狭いはずの体内が
実は臓器たちには広々とした
気持ち良い空間として
感じられているのです。

 

臓器たちにこうした
安定性を提供しているのが筋膜です。

これは、強い張力と粘性と弾性を持つ
膜性の臓器である筋膜だからこそ
担える役割なのです。