neMu no ki 代表
飯島 千惠
ボディワーカー
エネルギーワーカー
和種系乗用馬の育成・調教師
外乗専門の乗馬インストラクター
「からだ」についての私の最も古い記憶は、家のすぐ目の前にあった下り坂でしょっちゅう転んでは膝をすりむいて泣いていたというもので、身体との関係性の出だしは決して良好とは言えませんでした。
小学校に上がると、体育の授業でみんなは軽々と逆上がりをしているのに、手と足のタイミングが悪いのか手の力が弱いのか、私は一向に出来ません。「みんな同じからだの仕組みを持っているのに、できる人とできない人がいるのは何でだろう?」その時に思ったこの疑問が、それ以降の身体との歩みの原点にあります。
高校まではピアノ一筋、音大に入ることを考えていました。難曲に取り組むようになると指の緊張で音が正確に拾えなくなり、限界を感じてピアノを断念。家から辛うじて歩ける距離にあって、創部したばかりで面白そうに感じた中央大学総合政策学部に入学後、運動神経の良し悪しは関係のなさそうな合気道や弓道などの武道や乗馬に挑戦したことで、人生の流れを決定づける重要な2つの原体験を得ました。
その一つは馬と信頼でつながった体験で、もう一つは放った弓矢を的の中心が迎えに来ると言う体験。どちらも私の中では「奇跡」の体験でした。(詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。👉 https://inemurino-ki.com/2018/04/21/physical-alchemy/)
信頼をベースにして味わったのは人馬一体の感覚そのものだったので、これを再現できる乗り方を探求したいという思いから、大学卒業後は馬専門でしかも流鏑馬(弓矢と馬!)を行っていた紅葉台木曽馬牧場に就職。以降6年半に渡って、馬と信頼でつながるにはどうしたら良いかを模索する毎日を送りました。
その中で得た答えは、馬に信頼を寄せてもらうにはまずこちらが馬を信頼すること。
何があっても信頼すると決めて馬を見始めると、彼らはいつでもちゃんとこちら側(乗り手)の指示を聞こうとしていること、こちらの意図を理解しようと耳を傾けていることに気付きました。
でも、そんな馬たちの姿勢にも関わらず、こちらの指示通りの動きにならないこともあります。それは馬の問題ではなく、こちら側が意図せずして立てている「雑音」のせいで指示が曖昧になっているからでした。それが分かった時から、馬に本当に伝えたい指示だけがクリアに簡潔に届くよう、自分のバランスだけでなくごくわずかな無意識の身動きも含めたすべてを意識で捉えるべく、毎日、徹底的に内観を繰り返しました。
そうした取り組みの中で、意識ではどうにもコントロールできない、根強いバランスのズレが自分の身体にあることに気付きます。きっと解消できるという確信はなぜかありましたが、そのためにはまずズレの正体とメカニズムを正確に知る必要があるとも感じたため、その糸口を求めて東京療術学院に入学し、実践を伴う施術者の立場に身を置いて、生きた形で身体について学び始めました。
2年の学びを経て療術学院を首席で無事に卒業、既存店で経験を積んだ後に、当院neMu no ki を開院。2009年当初はアロマテラピーと整体を提供する店舗として活動を始めましたが、身体の根本からの変化を可能にする最良の施術だけを提供したいと思うようになり、数年後に現行の筋膜バランス整体neMu no ki として再始動しました。
1回で全身くまなく調整するだけでなく、思考や感情面も包括的に扱い、存在まるごとで調和が取れるように意図して設計している施術なので、所要時間は200分前後。現在に至るまでの臨床時間だけを累積しても4200時間を超えます。(施術で現れる情報が膨大なため、施術の一つ一つを分析・整理してカルテを記録し直すにも、時間が必要になります。)
その間、馬の時と同じように、身体をとことん信頼すると決めて身体と正面から向き合って来たことで、施術の世界に入る契機となった体内の根強いズレについても、今ではその理由とメカニズム、解除の仕方に至るまで明確です。
更にはそれだけでなく、施術の中では身体が治癒のプロセスを自らデザインして見せてくれます。これを目にする度に、奇跡はあるのだなと感じます。馬では果たせなかった奇跡の体験の再現が、今、身体を通してもたらされているのかも知れません。
そうした「身体」と、その持ち主であるそれぞれのクライアント様への畏敬の念と感謝の思いと共に、私は施術者として喜びと幸せに満ちた今を歩んでます。