経済生活は「友愛」を原則とする  by シュタイナー

訳あってシュタイナーについて調べていたら、ウィキペディアで下記のような記述を発見。
 
 
『戦争を初めとした社会問題の解決策として、「社会有機体三層化運動」を提唱した。社会という有機体を精神生活(文化)、法生活(政治)、経済生活の三つの部分が独立しながらも、精神生活においては「自由」を、法生活(政治)においては「平等」を、経済生活においては「友愛」を原則として、この3つが有機的に結びつくことが健全な社会のあり方であると説いた。』
(抜粋 : http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%AB%E3%83%95%E3%83%BB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BC#.E6.95.99.E8.82.B2 )
 
 
経済活動の原則は「友愛」。
 
 
これ、最近私が直面している問題の本質を突いている言葉だなぁと、感心しました。
 
 
精神生活とは文化的な創造性を発揮する活動ですから、そこでは誰しもが自分を「自由」に表現できることが原則。
法生活=政治では、すべての人を対等な立場と捉え、また「平等」であるようにしていくことが、
様々なことを遂行していく際の根本的な基準になる。
では、経済生活において、私達の行動の規範となること、その活動の善し悪しを判断する基準となることはなんでしょう?
 
 
それが、「友愛」なんですね。
 
 
とかく、経済活動においては、個人の利益にどうしても焦点が集まりがちです。
いかにお金を儲けるか、いかに人よりも得をするか。
限りのある富や資源を分配していると、私達は無意識の内に考えていますから、
そこには常に競争がつきまとい、人への思いやりや、優しい目線が失われがちになります。
 
 
 私が携わる整体という仕事、サービス産業の一つです。
この産業の特徴は、モノとお金を等価交換するという、単純なお金のやり取りを行なっているのではないという点です。
 
 
サービス業では、実際に金銭を支払う対象として分かり易いモノ・コトガラにプラスして、
サービス提供者側のお客様に対する気遣い、という心のやり取りが乗っかります。
 
 
これが大変重要です。
この気遣い、配慮によって利用者が十分に満足を得られれば、
対価は仮に安くなかったとしても、快く支払われることとと思います。
 
 
 例えば、大家業。これもサービス業のひとつだと思います。
 
 
大家さんはお客=借り手に対して、アパートの一部屋という実際のモノを提供すると共に、
借り手が安心して住める環境作りという配慮をすることによって、
借り手との間に信頼関係を築いていきます。
 
 
大家さんとの賃貸関係は数年をまたぐことが大方でしょうから、
借り手はその信頼関係に満足していればこそ、家賃を気持ちよくお支払いしましょう、となる訳です。
 
 
「配慮」や「思いやり」という要素は、
すなわちシュタイナーの言うところの「友愛」と同じことだと思います。
これらの要素こそ、
無味乾燥で自分本位になりがちなモノとお金のやり取りに、
人間らしく他者を気づかう関係性をムリなく持ち込み、統合してくれる、
重要な要素だと思うのです。
 
 
アジア圏の多くの国では、商品の売買に値段交渉が普通に入りますよね。
あれも、「友愛」の一つの表現ですよね、きっと。
短いやり取りの間でも、相手との関係性を作ることを楽しんでいる訳ですから^^