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施術による身体の変化
症状の改善を望んでいらっしゃると思いますが、
当院の施術は症状の改善を目的とした
いわゆる「治療」ではありません。
その一方で、当院では症状のすべては
身体のバランスの乱れから来るものだと考えています。
どのような症状の方であっても、
全身のバランスを整えることを目標として
施術を行います。
痛みなどの症状は、
「私」という一つの存在の中に
何らかのバランスの乱れがあることを
身体が私たちに知らせようとする、
そのための手段だと当院では捉えています。
その様に考えると、
全身のバランスが整えば
症状は出る必要がないものなので、
自ずと軽減されていくことになります。
とても重要な要素である「身体のバランス」ですが、
では、そうしたバランスを「整える」とは
どう意味なのでしょうか?
当院においてのバランスとは、
機能と構造の両面を含めての調和や秩序を指します。
私たち生命は、自然環境に適合する形で
今現在の形態を獲得しました。
そして、機能は形態と共に生じてきました。
形態と機能は、自然の中では常に表裏一体です。
と言うことは、
身体の機能はその構造と一体であり、
身体が健全な機能を発揮するには
構造的な健全性の裏打ちが必要だと言えます。
仮に、何らかの治療や施術によって
機能が改善したように見えても、
構造に生じていた歪みや緊張がそのままなら、
問題となった症状を生み出した
その背景にあった「環境」は、
体内に温存されることになります。
これでは、根本から治癒したとは言えません。
本質的に身体を変えて
根本から健康になる 。
その為には、機能はもちろんのこと、
構造面においても均衡を回復して行くことが必要です。
バラバラの組織や器官を一つにまとめ上げ、
私たちを今ある姿に支え上げるのは、筋膜の役割です。
筋膜をガイドにして施術をすることで、
私たちは機能と共に構造的なバランスも整え直せることを
幾度も目の当たりにしてきました。
筋膜への施術を通して、私たちは
バランスの取れた本来の姿、
本来の自分を取り戻せる可能性を見つめています。
好転反応
筋膜には私たちの人生の「地図」が描かれている、と
他のページでも触れました。
(参照:『身体に描かれた地図』)
学生の時に捻挫した足首、
ドアに挟んでものすごく痛かった指、
小さい時に高いところから落ちて打った背中。
とっくの昔に治ったと思っているケガなども、
その多くは筋膜に痕跡を残したままになっています。
「緊張」という形で。
緊張が蓄積すると、
私たちの身体は形を変え、動きにくさを感じ始めます。
その一方で、これらの緊張には、
今以上に身体のバランスが狂ってしまうことを
防いでいるという一面もあるようです。
不均衡さを抱え始めた身体には、
均衡を保つために支柱が必要な様なのです。
施術の目的は、支柱のいらない身体に戻ることです。
その過程では、支柱を一つずつ、
丁寧に外して行くことになります。
今現在の身体を支えている柱を取り外すのですから、
身体にとってはかなりのエネルギーを消耗します。
また、一時的にバランスが悪くなったように
感じたりすることもあります。
そんな時には、こうした反応が出るかも知れません。
強いだるさが出て来た。
右と左で身体の感覚が違う気がする。
あるいは、
緊張はお互いに結びつきあっているので、
支柱を一つ外したことで
さらに奥に隠れていた緊張が出て来ることもあります。
そんな時には、
めまいの様な、目の焦点が合わない様な感じがする。
ふらふらする。
違う所に痛みが出て来た。
と言ったような反応が起きる可能性も考えられます。
これらは、身体が変化していく過程で出てくるため、
好転反応の一つと受け止めることが出来るでしょう。
変化を感じない場合
筋膜が変化して行く時の感覚は、
非常に繊細で微妙なものです。
本来は、全ての人に
体内で起きることを感じ取るセンサーがあります。
ですが、日常の中では
胃液が分泌されているなぁ、
大腸が蠕動運動を始めたなぁ、
副腎からホルモンが放出されたなぁ。
なんて、そんなことまで感じ取っていては大変です。
脳まで情報としては届いていても、
私たちの知覚には上がってこない感覚が沢山あります。
筋膜で起きる変化も、
普段の生活の中では感じ取りにくいものに入ります。
感じ取るには、ある程度の
体感覚の敏感さが必要かも知れません。
意外な様ですが、
スポーツをされている方でも変化を感じにくいこともあります。
この理由については、当院ではこんな風に考えています。
身体のポジションがどうなっているかを受動的に感じ取る意識は
筋膜の動きを捉えやすいようですが、
筋肉をどう動かして理想の姿勢にするかと言う能動的な意識は、
筋膜よりも筋肉に焦点を当たりやすくするためではないか、と。
どちらの意識の使い方に慣れているかで、
筋膜の変化を感じ取りやすいかどうかが
左右される面もあるように思います。
また、筋肉の強い収縮は
感覚をブロックするものでもあります。
収縮が疲労などから来る凝りであれ
鍛えたことによる強度の増加であれ、
微細な感覚をブロックする面があるのは同じなのかも知れません。
変化を感覚として感じ取るかどうかは、
実際に身体が変化しているかどうかとは、異なるものなのです。
その他の施術との違い
指圧・マッサージなど、良く知られている手法との違い
指圧やマッサージなどの施術は、
多くの場合が症状のある部位への直接的なアプローチです。
痛みなどに対する対症的な処置とも言えるもので、
症状の軽減を期待することが出来ます。
「痛み」や「症状の生じている箇所」に視点を置いているため、
身体の中で今までの症状や身体の状態が
どの様なつながりを持って生じているのかを
この手法だけでは捉えるのが難しいという側面を持ちます。
その為、根本的に身体を改善しようとする際には、
こうした療法を用いる施術者は、別の療法や視点を求めて
更なる勉強を必要とする事が多いようです。
※同じ施術法を土台としていても、
施術者の身体に対する理解や捉え方の深さによって、
施術によって生じる効果や結果は大きく左右されます。
どのような療法を選ばれる場合であっても、
ご自身の感覚や考え方と合っていると思われる施術者を探されることが、
一番大切なことだと思います。※
症状の出ている部位は、身体のバランスを維持しようと
頑張ってくれている箇所です。
その頑張っているところをほぐすのは、
心張棒(しんばりぼう)を外してしまう様なものです。
症状の部位は楽になると思いますが、
全体のバランスを考えた時には
かえって均衡が崩れてしまっていることがあります。
身体には、
症状を作りださなくてはならなかった理由が
ちゃんとあります。
そして、その理由が何なのかを知っているのも、
それをどうしたら改善できるかを知っているのも、
身体自身です。
筋膜によるバランス調整では、
全身のバランスを細かく調べた上で、
今現在のバランスの乱れの最も根本がどこにあるのかを把握します。
この根本的な乱れの所在は、
その時その時の身体の状態によって
毎回変わります。
本当に身体がアプローチして欲しいと望んでいる
根本的な原因の箇所と、
それがその他の部位に与えていた影響とを
施術を通して理解することが出来ます。
筋膜リリース、ロルフィングなど、筋膜を用いる他の施術法との違い
最大の違い
最大の違いは、筋膜を「面」で捉えるか、
「ライン」で捉えるか、です。
筋膜とは、骨と筋肉、胴体と内臓など、
身体の各器官のつながりを取り持ち、
身体が私たちのそれぞれの形を保てるように
支えてくれている組織です。
ここには、身体のクセの情報が蓄積されます。
こうした、筋膜の持つ能力と役割に関する
理解と捉え方は、
筋膜を媒体とする療法の全てが
共通に持っている土台と言えると思います。
筋膜全体を引き伸ばす手法
筋膜リリースやロルフィングでは、
筋膜上に残っている緊張
(これが、身体の形や動きのクセを作ります。)を、
筋膜を最大限に引き伸ばすことで解消していくようです。
身体の筋膜を最大限に引き伸ばすことで、
筋膜の緊張や硬直は緩みます。
緊張が緩むことで、血流やエネルギーなどの流動性も
滑らかさを取り戻します。
膜を引き伸ばすことでバランスの変化を促すため、
最後には身体の中心軸を整え、
動きの調整をする必要もあるようです。
ラインへのアプローチ:
緊張のある組織だけをピンポイントにゆるめる手法
筋膜上の緊張をとても微細なレベルで捉えると、
実はライン(紐状)になって生じています。
中には、緊張や硬直した箇所に
しこりや塊が生じている場合もありますが、
これもまた、ラインで形成されています。
毛糸玉のように同じところを
ラインがぐるぐると巻き上がることで、
見かけ上は塊になっています。
neMu no ki の施術では、
このラインそのものにアプローチします。
ラインで緊張が生じているため、
全体を伸ばす手法では、
緊張の痕跡=ラインは引き伸ばされて薄まりますが、
完全にその痕跡が消えるのは難しいと思われます。
ライン状の痕跡を、
水路のようなものだとイメージしてみて下さい。
大地をぐい~っと引き伸ばしても、
水路の「道筋」はそのまま残りますよね。
ラインそのものにアプローチ出来ると、
クセの痕跡=水路そのものがなくなります。
その為、身体のクセが根本から変化しやすくなります。
アプローチするラインは
施術者が決めるのではなく、
クライアントさんの身体自身が
皮膚の表面にあらわしてくれます。
施術者は、その身体からのサインに追従して
施術を進めて行きます。
クセ=緊張は、身体がバランスを維持しようと作り出した、
いわば「工夫」です。
施術者が恣意的に
「ここの緊張を取れば良いだろう」と判断することは、
身体の都合に合わないこともあるのです。
身体が皮膚の表面にラインを見せてくれる時、
それは身体がすでに手放す準備が
出来ているという事でもあります。
身体が示すサインは、身体が求める順番。
それに沿っての施術なので、
身体に無理なく変化をしていくのが特徴です。