ボルネオの体験記も、
今回の報告④で最後になります!
研修から3か月以上経て、
やっと全ての報告が完了になります!(*^^)v
ボルネオでの研修は、
6日に渡るエネルギーワークの講義。
研修終了後は、ボルネオ滞在も残すところ2日。
ボルネオはガラパゴスに匹敵するくらい、
動植物が独自の進化を遂げた
界最古の熱帯雨林ということで、
オランウータンを観る森林クルーズを始めとして
体験したいものは沢山あったのですが、
2日間とも、研修参加者と一緒に
ボルネオの自然を満喫するツアーへ行きました。
案内をしてくれたのは、中華系マレー人のガイドさん。
知識がとても豊富で、日本語もペラペラです。
ボルネオの歴史やら植物の名前や効能など、
広い範囲の情報を細かく教えてくれました。
今回は、そのガイドさんが教えてくれた
植物に関する情報を中心に、
詳しくご紹介して行きます!
…いつもにも増して、長い記事です~!
自然ツアーの初日は、
キナバル山方面へ。
4000メートル級のキナバルは、
東南アジアで最高峰です。
ボルネオ滞在中、
拠点にしていたのは州都のコタキナバルでした。
ここはイギリスの入植で早くから開けた所で、
生活するのに何ら不便を感じる事のない
大きくてよく整備された都市です。
コタキナバルの名はキナバル山に由来していて、
「キナバルのある街」という意味。
そして、「キナバル」は
「おじさん(たぶん、おじいさんが正解かと。)の山」
を意味しており、
キナバル山には亡くなった人の魂が登って行くという、
かつてあった信仰を反映しているそうです。
この信仰から、死の床に伏している人は
爪を切らずに伸ばす風習もあったとか。
キナバル山は険しい山なので、
山をよじ登りやすいようにという配慮なのだそうです。
キナバル山は死を象徴する聖なる山。
地元の先住部族にとっては
生きて立ち入る山ではありませんでした。
初めて人が入山したのは19世紀、
ボルネオ島の北端に位置するブルネイ王国を足掛かりに、
コタキナバルのあるサバ州へと入植して来た
イギリス人たちでした。
ちなみに、ボルネオには多くの先住部族があり、
キナバル地域はカダザン、ドゥスンという
山岳民族が主流です。
かつて首狩り族と言われた部族もいます。
彼らはイバン族と言い、
サバ州の隣のサラワク州にいるのですが、
なんと州の全人口の30%がイバン族だそう!
結婚を控えた花婿が、
闘いに勝って敵の首を手に入れ、
結納として義父に渡すのだそうです。
そうして初めて一人前の男として認められる、
という文化だったようです。
ツアーで最初に立ち寄ったのは、
現地の人が日常的に使う吊り橋。
普通は観光客が来ることもなく、
壊れている箇所も補修されずにそのまま。
生活感が滲み出ています。
現地の人はバイクで通っちゃっているし、
そこそこしっかりしている様に
写真では見えると思うんですけど、
実際は足場の板が所々たわんでいて
意外に危険。
うっかり板の端を踏み込むと
向こうの端に乗っていた人が持ち上がって、
慌てたりして。
あはは、ごめんなさ~い!
そんなトラップに足を突っ込むと
吊り橋全部の揺れがいよいよ増して、
自分の足元もヨレヨレ、オヨヨ、となります。
うは~、楽しい~!
こういう整備されていない場所って
冒険心をくすぐられるみていで、
妙に楽しかったりするんですよねぇ~!
キャーキャー騒ぎながら
無事に吊り橋を渡り切ると、
農家の庭先らしきところに出ました。
道端や庭に何気なく植わっている木々には、
実がたわわに生っています。
パパイヤにグアバ。
タピオカの木も有ります。
う~ん。
栽培している訳でもなさそうな、
勝手に自生してますみたいな顔をして、
こんな風に普通に生えている植物が
沢山実をつけている姿って、日本で見る事あったかな?
本来は、人の管理を受けなくたって
芽吹いて成長し、実を付ける。
それが植物にとっては当たり前のことなのに、
そこで「凄いなぁ~」と感心してしまうのは、
自分のいる環境がそれだけ
自然と乖離しているってことなのでしょうねぇ。
さて、この先は植物のオンパレードですヨ。
まずは南国らしい巨大さの、
人の背丈ほどもあるサトイモ科のクワズイモ。
サトイモとよく似ているのですが、
間違えて茎を食べると中毒するそうです。
シュウ酸カルシウムを含む植物なのですが、
これは皮膚粘膜に付着すると刺激作用があるそうで、
組織を切ると出てくる汁にも
直接触れない方が良いとのこと。
葉っぱを傘代わりにしたい!
なんて思いましたが、
かぶれちゃいそうですね~。
(参照:Wikipedia「クワズイモ」)
「この植物は、虫に刺された時のかゆみ止めに使います。」
と言うガイドさんの先に咲いていたのは、
ピンクやオレンジなどの明るい色彩の混ざった
可愛らしい小花が集まっているランタナ。
花屋さんでも、よく見かける植物です。
説明を聞いたそばから蚊に食われたので、
早速実践してみました。
葉は潰すと、ミントの様な清涼な芳香があります。
汁を塗ると、かゆみは確かにすぐに治まりましたよ!
キナバル山に向かう道すがらには、
山岳民族の営むマーケットがあります。
マーケットの一角には
向かいの山を望むビューポイントがあり、
そこに黄色い大きな花を沢山つけた木があります。
木から垂れ下がる様に咲いている
エンジェルトランペット。
見た目の華やかさと呼び名の可愛らしさとは裏腹に
一種の麻薬の様な作用があるそうで。
彼らはキダチチョウセンアサガオ属で、
複数の毒性成分を特に根っこに含むそうです。
中でも、スコポラミンと言う成分は、
自白剤(自由意思を奪う作用)にもなるとか。
マーケットでは、
山岳民族の採取したナッツや蜂蜜、
様々な珍しい果物を売っています。
まるで大きなイガグリのように
トゲトゲの表皮で覆われているのは、タラップ。
棘は固くないので、触っても痛くはありません。
厚い皮を剥くと、トウモロコシのように
芯のまわりに乳白色の実がぎっしり並んでいます。
トウモロコシとの違いは、
一つ一つの実に大きな種がある事。
ジャックフルーツという果物もあるんですが、
それと形や構造がよく似ています。
現地のおばちゃんは、逞しい手でワシワシと
苦も無くタラップの皮を剥いて行きます。
ところが、よく見て頂くと分かると思うのですが、
皮と芯は強情な線維でつながっていて、
そう簡単には実が露出しないように厳重に守られています。
剥くのには、力とコツが必要です。
おばちゃんの選んでくれたタラップが
しっかり熟していたせいもあるのか、
触感はとてもクリーミーで、
香りも良く強い甘みがありました。
是非、皆さんにも食べてみて欲しい果物です!
お次の果物は、
「釈迦の頭」。
凸凹の形がその名の由来なんですけど、
どうでしょう…、
お釈迦様っぽいです?
マレーシア語での呼び名は、「ノナ」。
バンレイシ科バンレイシ属。
英名はカスタードアップルと言い、
まさしくカスタードクリームのような
とろりとした食感があります。
これも、文句なく美味しい果物でオススメです!
それにしてもあの独特な食感。
…そうだ、
こんにゃくゼリーに似てる!(と思う!)
表皮と果肉の間の部分は最も香りが強く、
西洋ナシのような風味と
シャリシャリした食感があります。
果肉の中に、梨と同じ石細胞を持っているそうです。
(参照:Wikipedia「バンレイシ」)
こちらは、パッと見てギョッとする果物(;・∀・)
その名も、スネークフルーツ。
見た目だけでなく、
皮の感触も蛇に近いんじゃないかなぁ。
ヤシ科、サラカヤシの果実。
皮は薄くて、鱗状になっています。
鱗に沿ってペリペリと剥がれる様子は、
脱皮した蛇皮そのもの。
食感はユリ根に似ていたと思うんですが、
味はイマイチだったので記憶に残らず。
…ん?ゲンキン?(^▽^;)
マーケットを出発して山道を更に奥へ。
着いた先は、キナバル山の麓の国立公園。
公園内をゆっくりと散策しながら、
植物を丹念に観察して行きます。
こちらは、アリノス(蟻の巣)シダ。
本当に蟻の巣なんだけど、植物なんです。
ウラボシ科レカノプテリス属。
太い根茎を木に這わせて土台とし、
木に着生するシダ植物です。
根茎の中がトンネル状になっており、
それがアリにとっては魅力的な家になります。
アリとの共存に特化して進化した植物です。
おなじみのラタンは、
自然の中ではこんな姿。
表面に大きく痛そうな棘がびっしり生えていて、
なかなかの迫力。
ツル性のラタンは、
この棘を使って他の木をよじ登って行くんだそうです。
登られる方は、たまったもんじゃありませんね~(^▽^;)
植物分類は、ヤシ科トウ(籐)連。
ラタンと言うのは、マレー語由来の呼び名。
(参照:Wikipedia「トウ」)
ラタンが棘でのぼる戦略なら、
こちらは、相手をすべらせる戦略で
生き残りを図るトリスタニア。
つるりとした裸の木皮が、
他の植物の着生やツルの巻き付きを防ぎます。
フトモモ科。
ティートゥリーやユーカリも、同じフトモモ科です。
ツルっとしている上に硬質で耐久性が高いので、
ウッドデッキを始めとする材木として使われます。
お次は、
民間伝承的なエピソードのある植物で、
妊娠中の霊が住んでいると言われる
オオタニワタリ。
面白い信仰のあるこの植物は、
出産の痛みを鎮めたり、
ココナッツ油と混ぜて毛生え薬にも用いるそう。
上の写真では、木の幹の中央に
まるで小屋がくっついている様な形になっています。
このように、
木の幹や高い枝の上に生えている姿をよく見たので、
他の木から養分を吸い上げて
寄生している植物なのかと思いました。
でも、そうではないんですね。
落葉を集めて根元に腐植塊を作り、
そこに多量の根の塊を形成して
着生するのだそうです。
(参照:Wikipedia「着生植物」)
つまり、根っこに栄養を集めて、
それをいわば腐葉土の大きな塊に育てる訳です。
自力で。
そして、そこから更に
大きく豊かに葉を伸ばして行きます。
う~ん、何と
自給力と生産力の高い植物なんだ~!(;・∀・)
この姿からは、確かに
胎児のいる妊婦さんのイメージや、
髪の毛をふさふさ生やす力を持った
力強い毛根や頭皮のイメージを、
見出すことが出来ますよね。
こうした例を見てみると、
民間の信仰や伝承も、
自然への細やかな観察に基づいているものが
実は多いのかも知れませんよね。
さて。
次は食べられる植物、
メディニラ・スペキオサ。
ノボタン科で、和名は、珊瑚野牡丹。
赤紫になるまで熟した美しい実は、
食べる事が出来ます。
森の中で見つけた実を食べられるかどうか、
それを調べる方法と順番を、
ガイドさんが教えてくれました。
①見た目:毛や棘などが生えていたらNG。
②匂い:変な匂いのものはダメ。
③汁を唇に少しつけてみる。毒性があれば腫れる。
④ほんの少しだけ口に入れて見て、2時間ほど胃腸の反応を待つ。
…やっぱり、最後は食べて確かめるのか~!
ボルネオは、
特殊な動植物の進化をしてきた島。
植物には固有種が多くあります。
キナバルバルサムはキナバル固有の花。
その形状からミッキーマウスとも呼ばれます。
(写真がボケててごめんなさい~。)
種類としては、鳳仙花。
正確には、アフリカホウセンカ(インパチェンス)の
一種だろうと思います。
日本でよく知られている鳳仙花は
すぼんだ横向きの形をしており、
これは受粉してくれる虫が
主にハナバチだからで、
キナバルバルサムやインパチェンスのように
上向きで咲く種類は
蝶の受粉に適した形に進化したのでは、
と考えられているようです。
(参照:Wikipedia「ホウセンカ」)
可愛いものが大好きな女性が喜びそうな
リパリス。
人の形をしているランの花で、
別名、森の妖精です。
写真では小さくて見にくいですが、
ちょうど心臓の所に花芯があって、
裾の広がるスカートをはいているみたい。
可愛いですね~(*’▽’)
ラン科リパリス属。
他にも色々な姿のものがあるようですが、
リパリス・ブータネンシス(竹蕙蘭/ちけいらん)と言うのが
このオレンジ妖精さんに一番似ているみたいですヨ。
これは、熱さましに用いる葉。
葉の表側、緑色の方を額に貼るのだそう。
額に触れる側(葉の表)と、熱が放散される側(葉の裏)の
色が違う所が、
熱を吸って放出する作用と繋がっている感じがしますね~。
残念ながら、名前は不明。
ところで、オランウータンの主食って、
皆さんはご存知でしたか?
実はイチジクなんですよ~。
イチジクには種類が数十あり、
上の写真では、実はわずかに2センチほどの大きさ。
木の根元に塊になって生っているのもあれば、
地面を這うツルに所々実がついているものもあります。
中には太いツル性で
絞め殺しのイチジクなんて呼ばれるものも。
動物(主に鳥。恐らくはサルやリスなども。)が食べたイチジクの種が
他の木や石の上に残り、
そこから発芽して成長した太いツルが
木や石に巻き付きながら地面に降りて来ます。
ツルは人間が足をかけて登っても
ビクともしないくらい丈夫で、
その強い力でもって締め付けられた木は
80年くらいすると枯れてしまうそう。
さぞかし、苦しいだろうな~(;・∀・)
正真正銘、絞め殺すほどの力持ちなわけですね。
↑ これはイチジクのツルをつかまって、
木を登ろうと奮闘中のワタクシ(;^ω^)
ロウソクのように、火の点る植物があります。
ケロシンツリー。
別名はそのものズバリで、
オイルナッツまたは灯油の木とも。
この実はオイルをたっぷり含んでおり、
酩酊するような強い香りがあります。
オイルには石油の分留成分と同じケロシンが含まれます。
本当に火が点るんだよ、とガイドさんの実演。
実に傷をつけて、
出て来たオイルに火を近づけると、
ほら! ロウソクみたい!
日本でも目にする事のあるトクサ。
これ、筋肉痛に効くそうなんです!
肝心なところがボケてますけど、
写真の中央の棒のようなのがトクサ。
等間隔に節があります。
節はポンっという感触で抜け、
抜いた後に嵌める事も出来ます。
イメージ的に関節と重なる構造。
筋肉痛に効くとされるのは
そのせいかなぁと思うのですが、
どうでしょうか?
ラフィング・オーキド。
花の中心にある花弁が、
中心窩へ向かってパタンと傾く仕掛けを持っている、
美しく面白い植物。
その仕掛けに虫が乗ると、
虫は花の中に滑り落ち、
必然的に花粉が身体に付くようになっています。
受粉のチャンスを逃さぬように
専用の装置を備えた、頭脳派です。
花を揺らすと対虫用の装置がチロチロと動いて、
笑っている様に見えます。
その姿から、ラフィング・オーキドと呼ばれます。
ラン科の花粉は、
花粉塊と言って塊になっており、
その表面には粘着性を持つものも多くあります。
粘着質の花粉塊は
濡れたようにキラキラ光っていて、
人間でも妙に目を奪われました。
色と言い姿と言い、
この花にはどこか妖艶な感じが漂っていたのですが、
蕾を見てみると
何となく男性の生殖器にも似ている様な…。
ランは着生植物で、
(寄生植物は他の植物の栄養を吸いますが、着生植物は吸いません。)
木の樹皮の上に根を張り付かせる形のものが多いそうです。
これは先述した、
アリノスシダと同じ形態での着生ですよね。
他には、樹上に厚く成長した苔の中に
根を下ろして生活する形態のランもいて、
この場合は根を他の木の表面に這わせることはしません。
(参照:Wikipedia「オーキッド」)
こちらのタイプは、
オオタニワタリと同じです。
ただし、オオタニワタリのように
自分で栄養分の調達はしないんですね。
ラン科の植物、アリノスシダ、オオタニワタリ。
他の木を生活のための土台として、
その表層に住み着いている彼らや、
他の木を傷つけてでも、
目指す場に向けて伸びて行く
イチジクやラタン。
あるいは、他の植物からの攻撃を
自虐的とも取れる方法でかわすトリスタニア。
彼らを見ていると、
南国における植物同士の関わりのダイナミックさや、
必要に応じて自分の姿や形、生きるスタイルと言った
生命活動の大きな枠組みを、
いかに独特で自由なやり方で
変容させることを選んでいることか。
その柔軟で囚われのない生き方に、思わず感じ入ります。
先ほど、樹上に着生するランの話をしましたが、
こちらは大地に根を下ろすスリッパラン。
地面で生活するのはランでは少数派だそうで、
地生蘭、半着生蘭と呼ばれます。
スリッパランはアツモリソウ属の洋ラン。
正式名はパフィオ・ペディルムで、
女神のスリッパを意味します。
スリッパの部分は、花弁が変化したもの。
食虫植物ではありませんよ~。
観葉植物としてよく目にするポトス。
葉っぱだけの姿を見慣れていますが、
実はちゃんと花も咲くんですね~!
ポトスはサトイモ科。
写真では花は終わりに差し掛かって茶色くなっていますが、
柑橘類に明るい甘さを足したような
心地よい香りがありました。
花びらに見えている外側の大きな部分は苞(ほう)と言い、
蕾を覆っていた葉が、苞へ変化して行きます。
サトイモ科の場合は炎の様な形をしているので、
仏炎苞と呼ぶそうです。
では、実際の花の部分は?と言うと、
中央の白い軸です。
花軸と呼ばれ、
表面に小さな花が密集しています。
軸は厚い肉質で、
その表面一面に花が並んで付く(花序)状態を
肉穂花序(にくすいかじょ)と言います。
写真は花軸だけ残った状態ですが、
まるで幾何学模様のように
六角形の小さな花が並んでいます。
植物のお話は、これでおしまい!
大変長い文章、
最後までお付き合い下さってありがとうございました~!(^O^)
自然ツアーの2日目は滝に行ったので、
あとは文章なしの
美しい自然の写真をお楽しみください!
裏見の滝、マフア滝。
マフア滝に、美しい青い光が翔ぶ。
ひょっとして、滝の精霊かなぁ~。