龍神さまの思いやり

 

今回は、20代の頃に出会った

ちょっと面白い体験のお話を。

 

 

 

もう、何年も前の事。

友人と伊勢詣りに行きました。

 

当時はまだ、

山梨の牧場に住み込みで勤務していた頃。

一番近くのコンビニだって

車で5分と言う距離でしたから、

どこへ行くにも、足はとにかく車でした。

 

今は体力的にも根気からしても無理ですが、

あの頃は3時間程度なら

一人で平気で運転しましたし、

10時間の距離だって

交替できる人がいれば楽勝でした。

 

という訳で、

10時間程度の距離の伊勢にも、

もちろん車で行きました。

 

 

倭姫宮へ

 

お伊勢さまは

離れた場所に点在する小さなお宮を

沢山抱えています。

そのどの辺りを

どんなスケジュールで回ったのか、

もう遠い出来事なので忘れましたが、

 

最後の最後に行ったのが、

ヤマトトトヒモモソヒメの祀られた

倭姫宮でした。

 

図引用:三重県明和町HP<斎王<倭姫命 http://www.town.meiwa.mie.jp/romantic/saio/saio2.html

図引用:三重県明和町HP<斎王<倭姫命http://www.town.meiwa.mie.jp/romantic/saio/saio2.html

 

 

ヤマトトトヒモモソヒメ(倭迹迹日百襲姫命。以下、倭姫)は

やたらとすごい伝承を色々持っているのですが、

簡単に要点を挙げてみますと、

 

ヤマト王権の開祖とされる崇神天皇の皇女で、

ヤマトタケルの叔母として草薙剣をタケルに与えており、

天皇家の守護である天照大御神と対立していた

大物主神と神婚をしています。

 

天照大御神が鎮座すべき場所を探す役目を任され、

伊勢の地を選定した才能ある巫女でもあります。

 

 

 

その倭姫が祀られた神社は、

高速のインターチェンジのすぐ近く。

 

せっかくだから

帰る道々に寄って行こうという話になりましたが、

立ち寄った頃にはすでに

黄昏時が迫っていました。

 

神社の入口横の駐車スペースに車を止め、

鳥居をくぐります。

 

画像参照:神宮巡々2 http://www2.jingu125.info/2014/12/14/20141214_13373420183/

画像参照:神宮巡々2 http://www2.jingu125.info/2014/12/14/20141214_13373420183/

 

 

黄昏の境内

 

原始林をそのまま保存しているせいなのか、

薄暗がりの境内は妙に鬱蒼として見えました。

 

参道には、灯篭がありません。

どこまで続くか分からない参道を

灯りもないままに歩いて行くのはちょっと…、

この時、お互いに無言ながら感じていたようです。

 

今考えると、この時

林の持つ存在感とそこに息づく気配に

気圧されていたのかも知れません。

 

「参道は長そうだし、

あんまり遅くなっちゃうと東京まで帰るの大変だから、

ここで失礼して行こうか~?」

 

「うん、途中まで来てごめんなさいだけど、

ここで失礼して帰ろう。」

 

ちょうど参道がL字型に折れ曲がる所だったので、

そこで二人並んで深々と頭を下げ、

「ここで失礼いたします。」と一言断ると、

そのまま入口の方へと踵を返しました。

 

傾きかけた太陽の弱々しい光は

林の奥までは届かず、

かえって樹々の影を深く見せていました。

 

 

後ろの気配は…

 

しばらく歩いていると、

背後にはっきりと

違和感を感じ始めました。

 

後ろに、大きな塊がいます。

私の頭よりも高い位置に居て、

後ろには5メートルほどの距離でしょうか。

 

どっしりとしたものが浮かんでいて、

一定の距離を保ちながら私たちに付いて来るのを、

はっきりとした体感として感じました。

 

参道の幅からはみ出すほどではないですが、

かなりの大きさがあります。

そして、相当に重量があるのも感じられました。

 

 

 

…なんじゃこれ?

感じてるのは私だけ?

 

右を歩いていた友人をそっと横目で見遣ると、

薄暗がりでもはっきり分かるくらいに青ざめており、

少しうつむき加減になった首が

カチンと固まっている様子が分かりました。

 

ははぁ、

同じものを感じているらしい。

 

 

 

当時働いていた牧場は

富士の樹海の一角にありました。

 

樹海で強烈な気配に出会ってヤバイと感じ

気合で追い返したという話や、

夜中に目が覚めたら目の前に巨大な目玉があった、

なんて話を日頃から聞いていた事もあったのか、

(私自身は、その手の体験は悲しい位にサッパリでしたが。)

 

自分の後ろにいる大きな気配にも

この時あまり怖さは感じていませんでした。

友人と一緒と言うのも、心強く感じていました。

 

そして、後ろからついて来る

得体の知れない存在と、

横で青ざめている友人と。

そんな状況なのに、

なぜだか分からないけど面白い感じがして、

私の頬は弛みかけました。

 

 

一方の友人は、今までに

霊的な体験で何度か怖い思いをしていました。

体験者の彼女が青ざめているのだから、

これはマズイのかも知れない。

後ろを振り向かずに進んで

とりあえず鳥居をくぐった方が良いのかもと思いました。

 

二人して一言も発することなく、

足早に鳥居をくぐりました。

 

そこまで来ると、

気配は消えてしまいました。

 

 

 

鳥居の外で再びお辞儀をして、

車に乗り込みました。

 

「感じた?」

 

「うん、怖かった~!

ちゃんとお詣りしなかったから、

怒られちゃったのかな?」

 

「そうだよね~、

引き返しちゃったもんね。」

 

この時の出来事は

お互いの中に鮮明な記憶として残りました。

 

友人は数年後、

「ごめんなさい」の気持ちを伝えに

改めてお詣りに行ったそうです。

 

一人で抜け駆け、ずる~い!

と文句を言ったのは、ご想像の通り(*^^)

 

 

意外な真相

 

ある時、

高野山の僧侶の方と

お話をする機会がありました。

 

霊視の能力がある方で、

お話を色々と聴かせて頂いていたのですが、

ふと倭姫宮での出来事を思い出しました。

 

あの気配は何だったんでしょう?

失礼な事をしてしまったんでしょうか?

と聞くと、

わずかに私の背後の空間を見つめ、

 

「あ~(笑)

それはね、龍が見送りに来てくれたんだよ。

ここまでご苦労様だったね、

気を付けて帰ってねって。」

 

「え~!そうなんですか!?

(って言うか、そんなことあるの!?)」

 

「怖くなかったでしょ?」

 

「はぁ~、確かに…。」

 

 

わ~、龍が見送ってくれたの!?( ;∀;)

何てアリガタイ…。

あの頃は友人も私も

馬とどっぷり一緒に生活していたから、

親近感を持ってくれたのかしらん?

しかも和種馬だったし。

(馬は、龍の化身とも言われます。)

ウルッと込み上げて来るものが…。

 

それはまぁともかく、

龍だったかどうかの真偽は一度置いて、

当時の記憶を検証してみましょう。

 

思い返してみると、

気配は大きかったし重量もあったけど、

こちらを押すようなことは

決してありませんでした。

 

と言う事は、

こちらの小さな歩幅に合わせて

一定の距離を保ちながら、

巨体をゆっくりゆっくり進めて

付いて来た、ということになります。

 

かなりの重量感でしたから、

少しでもあちらのペースが早ければ、

後ろから「追いかけられている」とか

「押されている」と感じたはずです。

 

これには、

こちらへの怒りどころか、

思いやりすら感じられるではありませんか。

 

私たちが鳥居をくぐり

お宮の境界の外へ出たのと共に

気配が消えたことも、

見送ってくれる為だったのなら合点が行きます。

 

あの時に、何となく

面白いような可笑しいような感じがしたのは、

相手の中に悪意がないことを

無意識に感じ取っていたからかも知れません。

 

 

 

幅のある巨体でしたが、

長さがあったかどうかは分かりません。

ですが重力に反して安定して浮いていましたし、

検証を総合してみて僧侶のお話は信頼できそうなので

龍だったと受け止めました。

 

さて、この龍神さま。

なぜに倭姫宮に?

倭姫とは一体どんな関係が?

調べてみました。

 

倭姫が天照大御神の遷宮場所を決めるために

方々を行脚している間、ずっと

守護として付き添っていた龍がいたとか。

 

その時と同一の個体かは分からないけれど、

倭姫宮に関する他の方のブログ記事なんかをみると、

龍が写真に写っちゃったりもしてるようで。

(下の画像の出展は、

http://wajo.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/1_d75b.html。

左の光の中に、龍らしき顔が見えますよね。)

画像参照:http://wajo.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/1_d75b.html

画像参照:http://wajo.cocolog-nifty.com/blog/2006/08/1_d75b.html

 

気を付けてね、って

見送りもしてくれたりする訳ですし。

意外と、ホイホイ色んな所に顔を出すのが好きだったりして?

う~ん、アリガタミが… (;・∀・)

 

…もしや、こんな感じか?

画像参照:http://www.yoshie.bz/sampl/animaru/tatu/05/06/01.png

画像参照:http://www.yoshie.bz/sampl/animaru/tatu/05/06/01.png

 

少なくとも、人間が大好きであることは

間違いないかも知れませんねぇ。

 

 

 

存在の仕方が違う何者か(異次元の存在と言いますか)に出会うと

未知ゆえに怖いと感じるのは

当たり前のことだと思います。

ですが、本当にマズイ相手なのかどうかは、

冷静に自分の内的に目を向けてみると

きっと分かるものなんだろうと思います。

 

相手が自分にどんな働きかけをしようとしているか、

それを余裕を持って感じ取れている場合には、

そのこと自体が

相手が善意の存在だという証拠かも知れませんよね。

(本当にマズイ場合は、そんな余裕はないでしょうから。)

 

どんな時でも、

自分の内側の感覚をまず信頼したい。

これは私の施術の姿勢でもあるんですが、

思い返せば、

背後の大きな気配を何となく面白く感じたこの体験も、

自分の感覚を心底信頼できる様になる

きっかけの一つだったんだなぁと思います。