前のページでお話しした
臍の緒が三重に巻き付いていたクライアントさんは、
現在50代です。
臍の緒と闘っていたのは
半世紀前(!)のことになるわけですが、
その孤独な闘いが
実際はどのようなものだったのか、
施術を重ねる中で
詳細が明らかになって行きました。
例えば
闘いの中で取っていた
具体的な姿勢について、
手や腕や背中をどんなふうに使って
首に巻き付いた臍の緒の締め付けを
緩めようとしていたかや、
眉にグッと力を入れて
顔をしかめていた、
そのしかめ具合の強さからは、
肉体が壊れても
構わないとでも言うような、
半ばヤケっぱちとも言える
極限に追い込まれた必死さが
垣間見えることもありました。
その際に闘いに使った力は、
緊張や歪みという物理的な力の形で
身体に焼き付くように残っていて、
それが40代に発症した脊椎の病気の
原因の一つとなっていたことや、
また、体型や容姿を
今あるように特徴づけたことなど、
現在の身体の特徴や症状と
50年前の過去の体験との間の
隠された「綾」が、
単なる推論や分析を越えた
物理的・実際的なつながりを持って
明らかになって行きました。
身体に起きていた現象
(症状や違和感や緊張など)と
人生の中の体験や出来事との間に、
隠された「綾」があったことを理解し
そのつながりを知る体験は、
これまで別々に見えていた
「自分」を構成する様々な
「要素」や「パート」が
実は全てつながりを持っていて、
そのつながりによって
「私」と言う存在が
今あるように成り立っていることを、
知的にも体感的にも
深く理解する体験になります。
言い換えれば、
私という存在の全体性を
実感と理解を伴って
回復して行く機会となります。