前のページでお話しした
へその緒が三重に巻き付いていたクライアントさんは、
現在50代です。
へその緒と闘っていたのは
半世紀(!)も前のことですが、
その孤独な闘いが実際はどのようなものだったのか、
施術を重ねる中で詳細が明らかになって行きました。
例えば、
戦いの中で取っていた姿勢ー
手や腕や背中をどんなふうに使って
首に巻き付いたへその緒の
締め付けを緩めようとしていたかや、
眉にグッと力を入れて
強く顔をしかめていた、
その顔のしかめ具合からは、
必死さと共に
ヤケっぱちな気持ちがあった可能性も
見て取ることが出来ました。
また、
闘いに使った満身の力は
緊張や歪みという物理的な力を伴って
身体に焼き付くように残っていて、
それが40代に発症した脊椎の病気の
原因の一つとなっていたことや、
また、体型や容姿を
今あるように特徴づけたことなど、
現在の身体の特徴や症状と
50年前の過去の体験との間の
隠された「綾」が、
物理的なつながりの形を持って
明らかになって行きました。
身体に起きていた事象
(症状や違和感や緊張など)と
人生の中の体験や出来事との間に
隠された「綾」があったことを理解し、
そのつながりを知る体験は、
これまで別々に見えていた
「自分」を構成する様々な「パート」が
実は全てつながりを持っていて、
そのつながりによって
「私」と言う存在が成り立っていることを、
知的にも体感的にも深く理解する体験になります。
言い換えれば、
私という存在の全体性を
実感と理解を伴って回復して行く機会となります。
追記:
この症例の場合、
クライアントさんご本人は
へその緒が巻き付いていた話を
ご家族から聞いて知っていました。
ご自身は胎児の時の記憶は
持っていませんでしたが、
施術での身体の変化と並行する形で、
夢や日常のふとした瞬間に
当時の感覚がよみがえる再体験が
何度か起きました。
再体験から分かった胎内での状況と
施術から分かった姿勢や動作の詳細を
その都度擦り合わせることで、
施術の中で身体が示してくれる情報は
間違いなく臍帯巻絡に関わるものだと言うことを、
クライアントと施術者の間で何度も確認し直し、
それを共有し合いました。
ちなみに、この症例のように
記憶のない出来事を
再体験によって思い出すのは稀ですが、
過去の出来事や体験について
はっきり記憶がない…
と言うクライアントさんであっても、
施術の中で
症状や違和感などの原因になっている
と思しき姿勢や構え・動作が分かった時点で
クライアントさんご本人に伝えると、
大抵
「あ〜、なんとなく分かる気がする」
とか
「そうだ!確かにそうでした!」
といった言葉が返って来ます。
これは、顕在意識では覚えていなくても
身体はその時の出来事・体験を
正確に「記録」(記憶ではありません。)しているので、
それに一致するような説明を聞いた時には
「そうそう!」と体感で分かるためです。
ですので、
この文章を読んでいる方で、
興味はあるけど過去の記憶は何もないし
施術を受けても大丈夫なのかなぁ、
なんて心配をされている方がいるとしたら、
ちゃんと必要な情報は
身体自身が保持してくれていますので、
心配はご無用ですよ!^^