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ボルネオ報告②(全4編):-獅子舞と華人の力

 

今回のボルネオ行は、

2月13日~23日の日程でした。

これはもうズバリ、

中国の春節に重なる時期。

 

日本の正月とは異なるマレーシアの年末年始の空気を、

思いがけず味わってきました!

 

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(サンデーマーケットの開かれる

市街中心部のGayaストリート。)

 

 

春節のお話の前に、

マレーシアやボルネオと言う地域について

少し説明させて下さいね。

 

ボルネオ島は日本からほぼ直線的に南へ、

飛行機で5時間ほど行った所にあります。

 

北端の小さな範囲にブルネイ王国があり、

上の5分の2ほどの範囲はマレーシア、

下の5分の3はインドネシアが領有しています。

 

ボルネオ島全図

 

今回行ったのは、

そのマレーシア側の最大の都市、

コタキナバルでした。

(地図の中では、島の北端の少し左にあります。)

 

 

マレーシアは、イスラム教を国教とする国。

マレー人はムスリムで国民の約6割を占めます。

他には、3割が中華系の人々、1割がインド系です。

首狩り族として知られる部族を始めとして、

多くの先住系の部族も存在しています。

 

多民族の多文化、

モスクも道教寺院もキリスト教会もあって、

多宗教が共存しています。

 

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(リカスタウンにある石造りの教会。

この日は、地元のマレーシア人が沢山集まってのミサの日。

教会の前には、実は物凄い数の車が

ぎゅうぎゅう詰めに停まっていて、大変な事になっていました。)

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単に混在していると言うよりは、

それぞれが独自性を保ちながら上手く棲み分けをし、

違うもの同士が共生するのを可能にしている。

そんな、柔軟性を持つ社会の様に見えます。

 

 

 

それを示唆する象徴的なお話を、

現地で聞きました。

 

ボルネオは19世紀にイギリスの植民地となっており、

先住部族の中では

キリスト教徒が多いそうなのですね。

 

マレーシア全体としてはマレー人が多いけれど、

ボルネオでは、実は先住部族が

住民の半数以上を占めるのだそうです。

信徒の多くが部族民なため、

教会ではマレーシア語を使って説教が行われます。

 

ところが、マレーシア本島では

これはあり得ない事だそうなんです。

マレーシア語は国教であるイスラム教のモスクで使われ、

キリスト教会では英語を用いる。

ちゃんと、宗教に応じて

言語の使い分けが決められているそうなのです。

 

 

言語をない混ぜにして用いれば、

互いの教義に影響を及ぼし合うことは

想像に難くありません。

それを避けるために、

システムとしてちゃんと枠組みが決められている、

と言う事の様なんですね。

 

 

もちろん、現地の方にとっては、こうした仕組みも

良い面ばかりではないのかも知れませんが、

単一民族の(異論はあるでしょうが)日本に住む人間からすると、

「異なる文化や宗教を尊重する」には、

それだけ具体的な形が伴う必要がある、と言う現実に

なるほどな~…と深く感心させられたのでした。

 

 

ちなみに、マレーシアは

元々はシンガポールと一つの国だったって、

知っていますか?

今まで東南アジアに興味のなかったワタクシ(ゴメンナサイ)、

今回初めて知りました!

 

シンガポールは、マレーシアに比べて

華人の割合が多いそうです。

 

マレーシア半島にある11州(マラヤ連邦)と、

ボルネオ島の2州、シンガポールとが統合されて

マレーシア連邦になったのは1963年のこと。

結構、最近です。

 

マレー系の人々を中心に政策が展開される中で

中国系の人々が反発し、紛争にまで発展した結果、

シンガポールはマレーシアから追放される形で別々の国となったそうです。

統合してから、わずか2年後でした。

 

以降、

追放された一方は華人の力で経済大国に、

一方はまだ発展の途上に。

 

歴史の皮肉を感じなくもないですが、

でも私が感じた限りでは、マレーシアは

ムリなく歩みを進めている感じで良いなぁと思います。

とにかく、時間がゆったりと自然に流れている、

そのことが何よりも素晴らしいと思います。

 

 

 

さてさて、春節。

これは、言わずと知れた中国の正月のお祝いです。

 

コタキナバルに着いた時に驚いたのは、

大きなショッピングセンターの壁に

大きな金貨(!)の飾り物が沢山下げられていたり、

道沿いに赤い提灯がぶら下げられていたりと、

まぁ~とにかく賑やかなんですね。

でも南国のせいなのか、その賑やかさが

うるさく感じたりはしないんです。

 

春節の年末は日本の年末と同じで、

どのお店も夜遅くまで営業していました。

結構、早い時間帯から遅くまで開いている所が多いんですね。

南国の人達はのんびりしているイメージが勝手にあったので、

マレーシアの人達は働き者だなぁ~と感心してしまいました。

 

 

 

春節の元旦は2月の19日。

その日、研修の会場になっていたホテルに

獅子舞の一行がやって来ました。

ピンクに白に黄色に赤、

色とりどりの獅子が太鼓に合わせて派手に舞います。

 

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ホテルやレストランなどでは、

個別に獅子舞を呼ぶのだそうです。

獅子舞の規模は、支払う金額によって変わるそうで。

 

4頭現れたこのホテルでは、

一番良いランクのものをお願いしたのではないか、

とのこと。

 

獅子舞は、

場のエネルギーを活性化させる舞いなのだそうです。

今回の研修の講師の説明をお借りして、各場面の解説を少々…

 

まず、赤い獅子はホテルに入って来ると、

そのまま太鼓を従えて最上階へ。

5階あるホテルの全てのフロアを経巡りに行きます。

これによって、ホテルの中の全てのエネルギーが

くまなく振るい動かされます。

 

 

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ホテルのフロント前では、

残りの獅子たちがホテルの中の方へと向けて舞いを行い、

外からのエネルギーをホテルの中へ取り込みます。

 

時には観客の足をかじったり、

頭をかじったりしながら(これは厄払いですよね)、

躍動的な舞いを続けます。

 

かじる仕草が

何とも可愛いんですよ~。

 

 

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↑ 躍動感のすごさは、ほらこの通り!!

 

 

フロントでは、ピンク獅子の独演が始まりました。

愛想をふりまいて激しく舞いながら、

差し出された皿に盛った果物をパクリ。

果物は皿ごと、獅子の中に消えてしまいました。

 

 

やがて、ピンク獅子は

身体を長々と伸ばして地面に伏せました。

おや~?寝ちゃったのかな?

 

寝息を立てているみたいに、

お腹の辺りが動いています。

おぉ!繊細な演技~(*’▽’)

 

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今度は、ホテルの入口の外で

黄色い獅子が階段を使って舞い始めました。

 

階段と言っても柱が並んでいる形で、

足場は恐らく直径30センチ程度だと思います。

もし踏み外しでもしたら、

1メートルじゃきかない高所からの転落です。

 

 

 

ホテルの外に出ると、

抜ける様な美しい青空と、

まばゆいばかりの陽の光でした。

 

(伝統的に大事に継承されている儀礼だったからか、

天界と言っていいのか、

異なる次元からのお祝いの光の粉が降っていたのだとか~。

ひときわまぶしかったのは、

そのせいだったのでしょうか~(*’▽’) )

 

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舞いはアクロバティックで、

柱の上を飛び跳ね、

立ち上がり、

時には上半身が足場から飛び出します。

 

そんな動きの中で、

耳をパタパタ、まぶたをパチパチと

可愛らしく動かします。

 

あ!

獅子が食べてた果物の皮を

こっちに投げてよこした~!

これに当たるのはメデタイのかな?

 

(↓ 当日の獅子舞の動画。3分程度です。)

 

 

舞い手を見ると、

獅子の上半身の子は小さく、

下半身を担当している男の子は大柄で

がっしりと筋肉がついていましたよ!

 

舞いを舞うのは10代の若者たちです。

生命力の最も盛んな時期の若者たちが舞うという所も、

エネルギーの活性という目的に適っているのですね~。

 

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外での黄色い獅子の舞いが終わるころに、

再びホテルのフロントの方で歓声がしました。

寝ていたピンクの獅子が起き上がった様です。

ホテルの外へ出てくると、

お客さん達との写真撮影に応じます。

 

フロントの台の上を見てみると、

細工の施された果物が!

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獅子が伏せて眠ったと見せて、

実は中で細工をしていたんですね~!

 

 

 

私が宿泊していたのは別のホテルだったのですが、

そこでもやはり獅子舞を呼んだようでした。

部屋に入ると、机の上に

二つのミカンとお年玉袋みたいな小袋がありましたヨ。

小袋の中身は、金貨チョコ。

 

こうやって、みんなに福のお裾分けをするんですね。

マレーシアの春節に参加できたんだなぁって、

妙に嬉しかったのです~(#^.^#)

 

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日本に戻ったのは、ちょうど春節が明けた頃。

ニュースを見ると、中国人の爆買いの話で持ち切り。

 

以前なら、節操がないなぁと不愉快に感じたと思うんですけど、

ボルネオで中華系の文化に触れたせいでしょうか、

いいんじゃない、と思ったんです。

それが、自分でも意外でした(*^^)

 

中華系の人々は、

物質世界を動かす力を本当に持っているんだなぁと、

ボルネオで感じたんですね。

 

現実を動かす為にどうやってエネルギーを活性化させたら良いかとか、

どういう土地ならエネルギーを呼び込みやすいかとか、

そういう知恵を現実社会とリンクさせて上手く使っている。

 

例えば、風水だって

面白おかしい古い迷信などでは決してなくて、

建築の世界などでも未だに活用されたりする

活きた知恵として残っている訳です。

 

彼らが世界中を飛び回っていることで、

世界でモノが動いているし、

世界に活力が与えられている。

そうした側面はあるんだろうなぁ、って思います。

 

異なる文化を尊重し合うマレーシアの社会だからこそ、

文化の特徴みたいなものが

より見えやすかったのかも知れない、とも思います。

 

その反面で日本を省みてみると。

日本の伝統的な信念体系や知恵を、

生活の一部として活きた形で

大切に継承していると言えるのかどうか。

形骸化して骨抜きになっているものが、

ほとんどなのではないか。

 

そうしたものをちゃんと活かすことが出来た時に、

世界の中で日本が果たせる役割も見えて来るのかなぁ、

なんて思ったりするのです。