身体は外界を内包する

私たちは、身体の中に外の世界を内包しています。

私たち脊椎動物は、複雑で高度に発達した処理機能をもつ「腸管」です。たとえばパイプ管の実質は管を形成している物質だけで、管の内側の空間は含まれないように、腸管の内側もまた、外の世界なのです。

普段は管の両端(口と肛門)が閉じているため、身体の中に空洞があることを忘れてしまっているだけなのです。

皮膚が外気に触れているように、腸管や肺の中を通る食物や酸素もまた、外の世界のもの。口から体内に放り込んだだけでは、自分の内側に取り込んだことにはならないのです。腸管から吸収されて、初めて自分の一部に変化するわけですから。

腸管に沢山のリンパが存在するのも、腸管が外界と接していることの証拠でしょう。ノドの入口にある扁桃腺と同じく、異物が体内に侵入するのを防ぐ前線基地であることの示唆になります。

腸管の健康は、アトピーなどの免疫疾患と関連付けて語られることが多いですね。皮膚と同様に腸管が外界と接する、いわば自己の境界を形成するものだと考えれば、自己と非自己を区別する免疫(この免疫の定義も議論の余地があると思いますが)とは切っても切れぬ関係性だということが分かります。

*文の無断転載、無断引用は一切お断りいたします。