つわりは、胎児の苦しみの反映②

 

目次

・個体発生は系統発生を繰り返す

・胎児は「上陸劇」を体験する 」①

・胎児の変容に関する三木成夫氏の研究

・発生過程は、折り紙に似ている

・つわりと、胎児が体験する「上陸劇」 」②

・生物の体を変えた、重力の作用

・母体が「上陸劇」を共有するメカニズム─筋膜的試論

・つわりに個人差があるのは、なぜか  」③

 

 

▼胎児の変容に関する三木成夫氏の研究

 

三木氏は実証主義であったようで、

ご自身の感覚や経験を非常に大切にされていたことが、

著作から伝わって来ます。

(以下は、『海・呼吸・古代形象』/三木成夫を参照。)

 

 

胎児の姿が系統発生を辿って変容する事は、

多くの胎児の奇形の心臓標本を

目にする機会を通して、

直感したようです。

 

奇形の心臓は一見、

無秩序な異形に見えますよね。

 

実はそれが、

様々な古代生物の心臓とそっくりだ

と気づいた事が、

探求の始まりだったようです。

 

 

 

直感を裏付けるための

学問的な実験と観察は、

ニワトリの胚を用いて行われました。

 

小さな小さなニワトリの胎仔の心臓は、

生後2日目の卵の中で動き出します。

その心臓に墨汁を入れ、

肺の血管の出来る過程を調べました。

 

生後4日目の間だけ、

墨汁の注入が難しくなる事から、

体内で大きな変革が生じている事を察知します。

 

4日目の胎仔は

「小指の爪の半分もない。心臓はケシ粒くらい」

という極小サイズ。

その中で起きている事を調べるために、

三木氏は時間ごとの標本を作りました。

 

その日いち日の間に生じていたのは、

「魚類のエラの血管が、みるみるうちに

両生類の肺の血管から、爬虫類の肺の血管に変身してゆく」

という、驚くべき変化でした。

 

「原始の肺静脈から浮き袋の静脈にいたるまでが、

ほとんどいっせいに現れ、しかも

次第次第に消えてゆくのです。」

※「 」内は原文引用。『海・呼吸・古代形象』p.93

 

 

 

▼発生過程は、折り紙に似ている。

 

生命の発生の過程では、

一旦形作られたものが、

あるものは変化を遂げつつ残り、

あるものは消え去っていく。

 

三木氏の記述からは、

そうした様子を窺い知ることが出来ます。

 

その過程を経て、

私たちが今ある姿が

ここに現れて来るわけです。

 

これは、

生命が「順番」を持って生まれて来ること、

 

そして順番を追わなくては、

今ある形態を個々の生命の中に

再現することが出来ないと言う事を、

示しているのではないでしょうか。

 

形の上では消滅したように見えても、

実はその過程を踏むことで、

目には見えない必要な機能や

つながりが獲得され、

 

今度はその機能やつながりを足掛かりとして、

形態は次へと展開して行くのだと思います。

 

こうした過程は、例えるなら、

折り紙に似ています。

 

先々の作業で

キレイな立体構造を作り出すために、

一旦折っては折り目をつけ、

それをまた広げ直す。

 

後々の工程で実際に使われるのは、

そうして跡付けした「線」だけです。

 

ですが、こうして「線」が活かされることで、

折ったという作業自体も、一つとして

無駄にはなっていないわけです。

 

 

 

▼つわりと、胎児が体験する「上陸劇」

 

個々の生命が系統発生を繰り返すことを

更に確認するべく、三木氏は

標本瓶の中にいる胎芽の顔を確認しました。

 

心臓にピッタリくっついている顔を見るために、

胎芽の首を切り落とすわけです(;・∀・)

 

その顔からは、

以下の様な類似性が観察されました。

 

胎生32日目頃 :古代ザメ「ラブカ」=軟骨魚類

胎生34日目  :ムカシトカゲ=爬虫類(上陸後の生物)

胎生38日目  :ミツユビナマケモノ=哺乳動物

 

これらの調査を踏まえて、

奥様が2人目の子供を妊娠した際に、

三木氏はつわりと胎児の関連に気付きます。

(以下、抜粋。「 」内は、原文引用。『海・呼吸・古代形象』p.95)

 

胎生30日を過ぎた頃から

奥様の「顔つきに茫洋とした雰囲気が漂って」来て、

 

「爬虫類の三十六日がやってきますと、

ついにつわりが始まったのです。

拒絶反応なんぞと言われますが、

そんなに単純なものではない。

あの古生代の終わりの一億年をかけた、

上陸の歴史で、まさに、母親の身体を舞台に、

激しく繰り展げられている。

母親はそれじっと抱え込んでいるのです。

そしてナマケモノの三十八日が来た時、

とうとうダウンしました。

黙って床を取って一日中横になっていました。

私はただ、唖然として、それを眺めていたのです。」

 

 

 

ネット上で調べてみると、

おおよそつわりのピークは

妊娠7週目に来るようです。

 

妊娠7週目は、

胎生期に換算すると5週目。

つわりのピークであると共に、

流産し易い時期でもあります。

(参照:http://www.pixy.cx/~kamosika/1/syusu.htm

 

三木氏が奥様を通して観察したことは、

母体全般に通底していることと考えられそうです。