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症状の必然性~円形脱毛症の事例より

 

目次

症状には必然性がある
円形脱毛症と、様々な対処法
その① 精油の実力
その② 驚きの原油療法
原因解明へ~筋膜的手法を用いて
頭蓋骨は動く
円形脱毛症の背後で、何が起きていたか。

症状には必然性がある

 

「ニキビやシワは、いつも同じ所に出来るでしょ。

そこじゃなきゃいけない理由があるから、そこに出来るんですよ。」

 

まだ整体の学院に通っていた頃、

筋膜療法を教えてくれた師がこんなことを言いました。

 

思えば高校生の頃、

右の頬っぺたにしつこく現れるニキビに悩まされていた私は、

なぜ決まってそこなのかと不思議に思っていました。

 

頬のニキビであれ、頬齢線であれ、額のシワであれ、

みんなに同じように出るわけではありません。

でも、「私」に現れるのはいつも同じ。

 

何故かパターン化して現れるこうした身体症状には、

実はちゃんと理由がある、という訳です。

 

それは、

口の周りのニキビは胃腸の不調のサインだと考える様な、

因果関係がはっきりと分かりにくい理由付けではなく、

その症状を必然的に起こさせる、物理的で特定的で、個人的な原因です。

 

師の言葉のニュアンスからそう理解した私は、

症状の背後には必ずそれに見合った身体の物理的な変調・変化があるはずだ、

というのを半ば信念として施術を行う様になりました。

 

とは言え、最初の内は「恐らくはそのはず…。」でした。

やがて臨床でのクライアントさんの身体の観察を重ねるうちに、

それは「確かにそうだ。」に変わって行きました。

 

症状の背後にある物理的な原因。

それは、実際にはどんなものとして現れるのでしょうか?

今回はそれを教えてくれた臨床について、お話してみたいと思います。

 

 

 

円形脱毛と、様々な対処法

 

今回の臨床例は、私の母です。

身内と言えど実名で明文化するのですから、

ちゃんと事前に承諾はもらいました^^

 

彼女の後頭部には、昨年の年末辺りから

毛髪が大きく抜けている箇所が見られる様になりました。

 

場所は後頭部のほぼ中央。

中央から少しだけ左上に寄っています。

 

10円玉とか500円玉なんて可愛いものではなく、

直径6センチほどの円形です。

上から髪が被さっていた為に気付くのが遅かったのか、

発見した時にはすでにこの大きさに成長していました。

円形脱毛症ー1

1月8日の頭皮の状態

 

大きく地肌が見える頭皮。

表面はパラフィンを塗布した様にテカテカで、奇妙な硬さがあります。

まばらに残った髪は、すべて白髪になっています。

 

齢70、

「もうこの歳だから仕方ないわね~。全然大丈夫、気にしてないから。」

と口では言いつつも、内心は気になって仕方ない様子。

 

事あるごとに頭の後ろを鏡に写し、

よせばいいのに家族に写メを撮ってもらい確認。

「あら~ひどいわねぇ…。帽子を被らないと歩けないわ~。」

…意気消沈。

 

あの~、全然気にしてないって、

誰の言葉でしたっけ?^^;

背中がガックリしてますよ~。

 

内心傷ついている様子を見るのは

家族としても施術者としても忍びないものです。

 

病院に言ったら?と言う声も家族からは上がりましたが、

先に円形脱毛症を経験した友達から

「髪のない所に直接、注射を打つの。髪は生えて来るけど、痛いのよ~!」

と聞いて来た母。

 

病院に一旦は行き、診断を受けて来ましたが、

薬も治療も自分から断って来ました。

 

何らかの症状を体験するのは、とても貴重なことです。

せっかくなのですから、どんな療法に効果があるか試してみよう!

と言う事で、手近な方法を幾つか試すことにしました。

 

本人にしてみれば、症状は辛いかも知れません。

ですが、起きている症状にはちゃんと意味があるはずです。

それを知って欲しいから、何とかして欲しいから、

身体は文字通り「身を呈して」、

何かが起きている事を私たちに伝えようとしてくれているのですから。

 

 

 

円形脱毛症は、いまだ原因の特定や治療法の確立が出来ていない

難治性の皮膚疾患という厳しい側面を持ちます。

実際に経験している方にとっては治癒までの道のりが見えず、

大きな苦しみを伴う可能性があるものなのです。

 

とりわけ、人との違いを厭う傾向性の強い日本社会にあっては、

ことさら人の目を厳しく感じ、精神的に辛い思いをする方も多いのかも知れません。

(参考: 日本円形脱毛症コミュニケーション

 

症状の出ている際の、患部の組織学的な特徴としては、

毛包内にリンパ球の浸潤が見られる、と言う事が挙げられるようです。

 

浸潤したリンパ球によって誤って毛根が攻撃される、

いわば自己免疫疾患ではないかと考えられており、

医療機関ではその認識に基づいて投薬などの治療が行われるようです。

(参照:円形脱毛症/Wikipedia)

 

患者さんに、もしかしたらこの記事を目にされる方もいるかも知れません。

少しでも役に立てばと思うので、

どんなことを試したのかを少し詳しく書いてみますね。

(頭部の症状に対しての試みですので、全身性の場合には当てはまらないかも知れません。)

 

 

 

まず、筋膜での施術。術者は私です。

頭皮は柔らかくなるものの

完全に頭皮の状態が良好になるところまでは回数が必要そうです。

髪の毛がすぐに回復するのを期待するのは、難しい所です。

 

 

 

その① 精油の実力

 

次は、薬理作用を期待して、精油を用いてみました。

頭皮の固さと血流の悪さを緩和できたら良いのではと、

ラベンダーを使用してみました。

 

ラベンダーは本人が最も好んでいる香りと言う事もあり、

感情的に落ち着く効果も考え合わせて選びました。

 

皮膚は柔らかくなり、赤味も引きます。

ですが、皮膚は表面だけが柔らかくなり、ブヨブヨしている感じがあります。

ブヨブヨの状態では血管にも緊張感がなくなり、かえって流れが悪くなります。

 

奥の方には硬さが残り、問題はこちらにあるように感じられます。

表皮には作用したと言えると思いますが、

毛髪が回復する直接の助けにはならないと判断し、他の方法を探しました。

 

たまたまその頃、とある精油のセミナーに出席しました。

講演者だったアメリカ人の医師に相談してみた所、

私の手に触れて、「お母さんと似ているか?」と聞きます。

私の手は乾燥気味で、その時には冷えていたのを記憶しています。

 

その手の感触から、甲状腺の病気をやったことがあるなら、

年齢から考えて甲状腺機能の影響かも知れないよ、と説明してくれました。

母には若い頃、甲状腺機能低下を示す橋本病の疑いがありました。

 

女性の毛髪だと女性ホルモンの影響も考えられそうですが、

それはないだろうとの答えでした。

すでに閉経してから何年も経っており、

ホルモンバランスの急激な変化が原因である可能性は低い、

という見立てなのだろうと思います。

 

医師がその時に薦めてくれたのは、

針葉樹(コニファー類)のブルースプルースという精油でした。

 

ちなみにスプルースとは、トウヒ(唐檜)やエゾマツのことです。

クリスマスツリーはモミノキが有名ですが、元々はスプルースを用いていたそうです。

 

幾つかあるスプルースの中で、ブルースプルースは

ロッキー山脈原産の Picea pungens のことを指します。

ブルースプルース 1280px-Picea_pungens_'Glauca_globosa'_in_Autumnーcc BY-SA 3.0

ブルースプルース (Wikimedia Commonsより/ Picea pungens ‘Glauca globosa’ in AutumnーCC BY-SA 3.0)

ブルースプルースの若い松毬 640px-Picea_Pungens_Young_Cones-cc BY-SA 3.0

ブルースプルースの若い松毬 (Wikimedia Commonsより/ Picea Pungens Young Cones- CC BY-SA 3.0)

 

甲状腺に働きかける事を目的として使うので、

精油は血流に浸透させる必要があります。

 

その為には、肘の内側などの

血管が表皮の近くにあるところへ塗布をするのが良いとのことでした。

(精油は薬理作用を持つもので、皮膚や神経などへの毒性を示す場合もあります。ですので、日本においてはアロマテラピーに関連する協会団体などでは、原則として原液での使用は禁止しています。ラベンダーは一般的に安全な精油と認識されていますが、スプルースは作用の強い精油で、使用にあたっては注意を要することもあります。この場合には医師の指示を仰いでいる事と、自己責任において使用していることをご理解下さい。)

 

母に試してもらうと、

髪の毛はともかくとして目がシャキッとして元気とやる気が出るとの事で、

甲状腺、あるいは頭部の血流に対して何らかのポジティブな作用を与えていたのではないかと思います。

 

 

 

その② 驚きの原油療法

 

またこの時期、これもたまたま行ったのですが、

ケイシー療法に関する講演会に行きました。

 

この講演会では、これもまた たまたま、お土産を頂きました。

それが何と、円形脱毛症や若白髪に有効というシャンプーでした。

 

ケイシー療法ケイシーその人について話し出すと長くなってしまうので、

興味のある方は各自で調べて頂くとして…。

 

ケイシー療法の中では、頭皮の問題には

原油で頭を洗う原油療法を薦めています。

1024px-Korňanský_ropný_prameň CC BY 3.0 (Natural petroleum spring in Korňa, Slovakia)

地表に染みだした天然の原油(Wikimedia Commonsより/Korňanský ropný prameň ー CC BY 3.0)

 

なぜ原油が頭皮に効くのか、

その機序については調べていないので私には分かりません。

 

ただ、元は生物だったものが長い年月をかけて

大地の中で変性したものが原油だと言われています。

(これも、実は諸説あるようです!生物由来説が一応主流のようですが~。

確実に分かっていることなど実はこの世に一つもないのでは…何ていう気もして来ますね~^^; )

 

シャンプーの名前は奇しくも「大地の力シャンプー」でした。

確かに、原油は大地のエネルギーを凝縮したものと言えるでしょう。

 

髪が植物だとすると、頭皮は大地です。

頭皮に不足しているエネルギーを、原油を介して大地そのものから受け取る、

そんなイメージなのかも知れません。

しかも大地の奥深くで生まれる原油ですから、

頭皮の奥にいる毛根に働きかけてくれそうです。

 

 

 

で、効果のほどやいかに。

 

はい、変化ありましたヨ。

わずかに3~4回程度シャンプーを使った後だと思います。

「見て見て!

白かった額の生え際が、黒くなってきた気がするのよ!」と。
(使用効果は人によって差があると思いますので、あくまでご参考まで。)

 

毛髪の抜けた所も確認してみると、

白髪ではあるけれども、剥き出しだった頭皮の周りに髪が増えている気がします。

発見から4か月経過した頃でした。

 

8か月以上経た最近では、

地肌が剥き出しで見える状態は、ほぼ解消したと言えると思います。

 

ちなみに…

あれほど小まめに撮っていた写真は、その都度消していたそうです。

確かに、何度も繰り返し見たい写真ではありませんものね。

私としては全ての過程は大切な記録。残したかったなぁ…なんちゃって^^;

円形脱毛症ー3

8月18日の頭皮の状態

 

原因解明へ~筋膜的手法を用いて

 

母が抜け毛に悩んでいた事が

すでに家族の意識から消え去りかけている昨今になって、

一体なぜ後頭部に円形脱毛が生じたのか、

その原因がやっと分かりました。

 

寝ている時に頭をゴリゴリしているからじゃないの?って思った方、いました?

いえいえ、違うんです。

 

ゴリゴリは抜け毛を助長したかも知れません。

ですが、原因そのものではないんです。

 

 

 

筋膜の施術は、前述したように

髪の毛をすぐに回復する手段としては適当ではありませんでした。

ですが、甦った髪の毛を長生きさせ、著しい抜け毛を再び起こさないように、

土台を整え直すことは出来ます。

 

ここで言う土台とは、

頭皮であり頭蓋骨です。

 

彼女の頭部の特徴を挙げると、

頭蓋の内圧が高く、頭蓋骨は外側に張り出すような形になっています。

元々の頭の形よりも、左右に幅が出ている状態です。

頭皮は張りつめて薄くなり、

頭頂にはまるで小さな角の様な、固いコブがありました。

 

血圧が高めだったこともあり、

以前から頭蓋の内圧の高さは気にかかっていました。

最初に症状の話を聞いた際には、すぐに

頭蓋の硬さと内圧の高さが関係しているだろうと思いました。

 

 

 

施術では、症状のことは念頭に留めながら、

全体のバランスを見て行きます。

症状の改善は全体のバランスの回復に伴って付随的に生じるので

時間がかかる場合もあります。

 

その代わり、全身のバランスの変化をつぶさに観察して行くので、

症状がどのような脈絡の中で生じたのかを把握することが出来ます。

 

例えば、円形脱毛症に頭蓋の内圧が関係していると気付いても、

それが実際にはどんな脈絡で起きているのかを

身体が分かりやすく示してくれるわけではありません。

 

母は、円形脱毛が生じてから5回、

施術を受けに来ました。

 

ある時は足根と首が中心の施術、

ある時は腰と顔、

又ある時は背中と坐骨。

 

頭とは直接関係のなさそうな所へアプローチを繰り返す内に

身体に蓄積していた歪みや緊張が徐々に剥がれ落ち、

やっと隠されていた原因が姿を現して見せてくれました。

それが、5回目の施術の時だったのです。

 

 

 

頭蓋骨は動く

 

原因は何だったのでしょうか?

一言で表現するなら、後頭骨の歪みです。

 

西洋医学の見地からすると、

頭蓋骨は動かないと考えられるのが一般的だと思います。

 

以前、頭蓋仙骨療法(CST)を学んだ際に、

頭蓋骨はわずかながらも動くものであり、さらに

頭蓋骨を構成している骨の一つ一つは異なる動きを持っている、という事を学びました。

 

これは、従来の医学の知識は思っていたほど「確実」なものではなく、

まだまだ疑問をはさむ余地があるという事に気付かせてくれました。

常識や通説とされるものを頭から信じ込むのではなく、

自分の体験や熟考によって評価し直す姿勢が必要なのだと感じさせられました。

 

一つの思考を学ぶと、

私たちはその見方に知らず知らずの内に囚われ、

異なる視点から物事を自由に見る事が出来なくなっています。

偏った狭い見方に囚われてはいないか、

それを自分自身で気づくには努力が必要です。

 

私の場合には、出来事や現象を

解釈を出来るだけ加えずにありのまま受け止める努力を繰り返し、

その繰り返しの中で蓄積される経験的情報の中から

脳が自ずと法則性や意味を発見するのに出来るだけ任せます。

 

そうした取り組みの中で、

頭蓋骨が動くことを私は経験的に知りました。

 

「頭蓋骨が動く」という表現を具体的に説明すると、

骨そのものが動いている場合と、骨の周囲の結合組織が移動することで

見かけ上、骨が移動している様に見える場合との、

2つの状況が考えられると思います。

 

母の場合は、この両方が重なって生じていました。

 

それでは、5回目の施術ではどんな変化が生じたのか、

それを以下に詳しく説明して行きます。

 

 

円形脱毛症の背後で、何が起きていたか。

 

この時の施術で重点的にアプローチすることになったのは、

患部である後頭部と、両足でした。

(施術する箇所は施術者の直感や恣意によって決めるのではなく、身体から物理的な現象として提示されるあるサインに従って決まります。その詳細や具体的な施術法については、ブログ記事「筋膜は、過去を記憶する。」をご参照下さい。)

 

母の足は、ふくらはぎの形が外側に彎曲していました。

この時の臨床では、その彎曲が軽減しました。

 

ふくらはぎの形状が変わると、

今までは踵の骨に対して斜めに乗っていた体重が、まっすぐになります。

 

無理な角度で体重を支える事から解放され、

踵を覆う硬い皮膚に、柔らかさが戻りました。

 

これは、ふくらはぎの変化に伴って、すぐに生じました。

一部分でもバランスが変わると、それは即、全体へ波及します。

 

足裏全体が、柔らかさを取り戻していきます。

これなら、今までよりも楽に安定して体重を支えられるはずです。

 

足元がぐらついている時には身体の軸が不安定になるため、

脊柱は何とか真直性を維持しようと緊張しがちになります。

足元の安定性が回復すると、脊柱のムダな緊張はおのずと解け、背筋は自然と伸びます。

(これは、人によって逆の場合もあります。その方がどんな身体の使い方をし、どのような歴史を身体に刻んでいるかによって、身体の連携のパターンが異なる為です。)

 

足元が安定し、脊柱の負荷が軽くなると、

首から下の安定性に支えられて頭部も変化しやすくなります。

つまり、頭部のバランスの回復には、脊柱や足元の安定が大切な要素になっています。

 

頭部へのアプローチは左耳から始まり、

一旦 乳様突起(耳の下・後方にある突起)へ下ってから後頭部へ移りました。※1

 

 

解説※1

耳や乳様突起などの出っ張ったり尖ったりしている所には、

筋膜が膠着したり、しこりが生じやすい傾向があります。

 

筋肉、筋膜、皮膚などの軟部組織が骨からずれた場合には、

こうした箇所で堰き止められることになります。

それが長い内に凝集を起こして、しこりを形成します。

 

筋膜での施術は、ずれた組織を元に戻すことで身体の構造を整えます。

膠着やしこりがあると元に戻るのを邪魔するため、

施術の際には先にそれを解く必要があります。

耳から乳様突起を経由して後頭骨へという回り道のような経路は、

そこにずれが生じていたことを教えてくれています。※

 

 

後頭部の中央付近へ辿り着くと、

しばらくしてその周囲の頭皮が緩み、さわさわと上へ移動して行きます。

頭皮が自ずから、上へ動いて行きます。

 

その反応が収まるのを待ち、今度は

後頭部と頸椎の境目のくぼみ(啞門穴)から後頭骨の下部周辺にアプローチします。

十四経発揮図譜~督脈~啞門

十四経発揮図譜より/啞門穴(督脈:背骨の真上を走る経絡)

 

少しずつ辺りの皮膚や筋肉が弛んで来ると、

後頭骨の下部の広い範囲に渡って、大きなしこりが現れました。※2

 

 

解説※2

組織は、何層にも重なった構造をしています。

そして層ごとに、様々な緊張や歪みの力を帯びています。

 

表面の組織が固まっている時には、物理的な組織の固さとそこに含まれる歪力の

両方の作用によってベールが掛かったようになっており、

奥の組織でどんな変調が起きているのかをきちんと把握することが出来ません。

 

表面を覆っていた層の固さと歪力が解けた時に初めて、

奥の状況が鮮明に見えるようになります。※

 

 

 

しこりはどんなに硬くても、正確に適正な接触をすれば

力を使うことなく弛み、ほどけます。

 

後頭下部のしこりが解け始めると、ここでもまた

解けて弛んだ組織は上へと移動して行きます。

 

その動きに伴って、

後頭骨自体が、反時計回りに回転し始めました。

 

後頭骨は本来の形と位置へ戻ろうとしているようです。

広がっていた頭部の幅は狭まり、前後に厚みが出てきました。

頭部は、より立体的な形へと変化して行きます。

後頭部でのしこりの移動

始めに確認した際、

母の頭蓋骨は内圧が高く、幅の広い形をしていました。

 

母に自分で触って確かめてもらったところ、

「え~!こんなに小さくなるの!?」

「頭が丸い~」と。

 

元々の母の頭の形は、

小さくて立体的で、スッキリとしていたのです。

後頭骨はこの状態を回復する為に反応し、能動的に動いたのだと思われます。

 

 

 

反応が収まった後に頭部をよく調べると、

後頭骨中央の少し左上の辺りに、

今まで無かったはずの隆起が現れていました。

 

ここは円形脱毛が生じた、まさにその位置です。

隆起の大きさも、髪の毛の抜けた領域とちょうど重なります。

 

 

 

施術は、身体に緊張や捻じれなどが蓄積された順番を逆から辿ります。

いわば、体内の時間をさかのぼって行くのだと言えるかも知れません。

 

最後に現れた後頭骨の左上の隆起は、

むしろ古くから体内にあったものだと考えられます。

 

隆起部分は、筋膜を中心とした組織が緊張などによって凝集・膠着したもので、

文中で「しこり」と表現しているものと同じ性質のものです。

 

ここは、いわば「緊張の塊」と言いかえられるかも知れません。

静的に固まっているのではなく、能動的な収縮する力を帯びています。

 

強い緊張や収縮は、身体にとっては負担です。

後頭骨が回転して歪んでいたのは、

隆起部分の強い緊張を分散する為だったのではないかと思います。

 

ですが、「緊張力」は分散できても、

物理的な隆起そのものは残ります。

隆起を形成する凝縮力は、非常に強いものだからです。

厄介な事には、後頭骨が回転したことで

見かけ上、頭部は平らになっていました。

本当は隆起するほどの緊張があることが、表面的には隠されてしまったわけです。

 

こうして、根深く居座った隆起の上には、

その力に引き込まれるように更なる緊張が堆積して行きます。

 

緊張のある個所では、

血流やエネルギーなどの様々な流れが低下します。

そこに毛根があれば、毛髪を育てるだけの十分な栄養が届かない事になります。

 

また、隆起した組織やしこり、膠着などは、

組織にずれがあることを示しています。

(皮膚・筋肉・筋膜という軟部組織間でのずれのこともあれば、骨と軟部組織とのずれのこともあります。これは、いわば地層がずれるのと同じ現象です。)

 

組織間のずれが毛根付近で起きた場合、

毛包はそれによって引っ張られたり縮められたりするはずです。

毛包が変形すれば、リンパ球が浸潤するスキマが出来るかも知れませんし、

毛根での細胞同士の連携が乱れ、新しい毛髪を形成しにくくなるかも知れません。

 

この隆起の出現によって、

円形脱毛の大きさに見合うだけの原因はちゃんと存在していたのだと、

母と共に納得したのでした。

 

 

 

 

 

死の淵に立つ馬② ~それぞれの立場で出来る事。

前回のあらすじ~
2日間の疝痛の果てに、
 腸の動きが止まった木曽馬の岳風。
 見守る人間たちの、
 それぞれの立場での努力が始まった。

 

 

自分の手だけでは、
弱った馬の肉体に変化を促すには 心もとなく感じた。

 

獣医に断わって、
精油や音叉も使いながら 腹部を刺激してみる。

 

動物は、音叉には敏感だという。
腹に刺激が入って腸が動くことで痛みが生じるのだろうか。
後ずさりをする。

 

出来るだけ痛みが生じないよう、
身体にどんな変化が起きているかは
つぶさに把握しておきたい。

 

やはり自分の手で、
細胞と岳の息遣いを感じながら手当をしよう。

 

人間と同じ構造なら、
横隔膜から伸びた内側脚が腰椎に付着しているはず。

 

横隔膜の端と端を押さえるように、
腰仙関節とみぞおちにアプローチする。

 

2か所に精油を塗布し、同時に触れる。
精油が、エネルギーの伝導を助けてくれるだろう。

 

横隔膜の広がりを意識で捉えながら、
反応が起こるのをじっと待つ。

 

横隔膜全体が、
意識に入ってくるようになった。
これは、ひとまず横隔膜全体に
エネルギーが通ったという目安。

 

獣医が、心拍と腸の動きを聴きに来る。

 

今まで動いていなかったところが
動いてきているかも知れない、と。

 

ただ、40メートルの腸。
外側で聴診出来る範囲は動いても、
その奥がどうなっているかは分からない。

 

肌寒い早春の夜、
「冷たい」と言いつつ片腕を水で浸した獣医は、

 

おもむろに直腸検査を始めた。
肩まで、肛門の中へと消えていく。
ちなみに、獣医は女医さんだ。

 

生き物を扱う人の潔さは、独特だ。
それは、 生き死にと
当たり前の様に背中合わせでいる事から来る、
厳しさと覚悟と、そして
その底に大きな優しさがあるからなのだろうと思う。

 

肩まで入るほど
奥深くに腕を挿し込むと、

 

「ガチガチだと思ってたけど、少し凹むな」

 

思っていたよりボロの固さは
柔らかかったようだ。
少し、望みが強くなる。

 

直腸検査からしばらく経って、
痛さをおくびにも出さず
静かに我慢し続けていた岳が

 

腰から崩れるように
ゆっくりと倒れた。

 

張りすぎた腹が邪魔をして、
上側の足は浮いたまま。
目が力なく閉じ始める。

 

眠ってはマズいと自分で分かっているかのように、
必死に瞼をしばたたいて 目を開けようとしている。

 

やがて痙攣のような動きが起き、
目がグルグルと彷徨う。

 

これはマズいな。
白目を剥き始めた…。

 

足を大きくバタバタ動かしている。
苦しい腹を蹴ろうとしている様だ。

 

それを察した場長とスタッフが、
腹を強くたたき始めた。

 

人間が相手なら、
苦しんでいる所を強く叩いたり押したりするのは、
あり得ない。

 

心臓マッサージだって、
相手の意識がない状態で行う。

 

可哀想という言葉は
誰からも出なかった。重要なのは、
タイミングを外さぬこと。

 

今この瞬間にやるべきことを、
やれることをやるだけ。

 

馬がしようとしている事の
意を汲んで、 それを実行に繋げる
反射神経があるかどうか。

 

行動の表面がどんな形かに囚われず、
その意図が馬の意思を支えるものなら、
迷っているヒマはない。

 

場長は、空を蹴る岳の脚を見て
何が必要かを瞬間的に嗅ぎ分け、
行動した様に見えた。

 

 

…続く

 

 

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精油と音叉の力。

 

エアコンの中の

黒い斑点(カビです^^;)が

ず~っと気になっていたのを、

 

 

今日になって

やっとキレイに掃除出来た! 😀

のは良かったんだけれど、

 

 

ゴリゴリゴリ…

「あ!やった!!」

 

 

掃除が終わる直前に

エアコンを付けまして、

最後の作業をしたんですね。

 

 

そうなんです、

案の定、

回転式のファンに

指を突っ込みました。

 

 

慌てて手を引き抜いて、

右手の中指が削れてないかを確認。

 

 

ほっ 😯

ちゃんと先っぽまで

無事にお肉がついてる~。

良かったぁ。

 

 

そして、中指さん、申し訳ない!

 

 

回転するファンにぶつかった指先は、

ジンジンする痛みと共に

膨れるような感覚がします。

 

 

このまま放っておくと、

患部はより痛みが強くなったり、

治りが遅くなったりします。

 

 

なぜかと言うと・・・

 

 

中指の様子を調べると、

関節が不安定になり、

皮膚や筋肉も妙に柔らかくヤワヤワ、

 

 

骨の表面でズルズルと動いて

骨格構造の安定性を支える力を

失っています。

 

 

これでは血管も

緊張度が足りなくなっているので、

患部を再建するための材料を

運んでくる血液が

患部に十分に届きにくくなるんですね 😕

 

 

患部では、細胞は言わば

パニックを起こしている状態です。

 

 

強い衝撃が加わることで、

自分たちの正常な振動数を

失っている状態と

理解してもらうと良いかと思います。

 

 

組織や器官には、それぞれ

独自の振動数があるのですね。

 

 

それは、私たち人間一人一人に、

独自のペースや

生活のリズムがあるのと同じことです。

 

 

 

 

音叉や精油は、ケガにどう作用するか。

 

 

せっかくなので、指を材料に実験。

通常、皆さんに行う施術の様に

筋膜からのアプローチでも患部の組織を

整えることは出来ますが、

ちょっと時間が必要。

 

 

なので、今回は

精油と音叉を使ってみました。

 

 

先日、思うところあって、

音叉と精油を用いる

ヒーリング手法を学びました。

 

 

レインドロップといって、

カナダの先住部族に伝わる治癒方法を

元にしているセラピーです。

 

 

精油も音叉も品質が確かなものは

一定の安定した周波数を生じます。

 

 

その力を借りると、

急なケガや打撲で

パニックになっている患部を、

効率的に落ち着かせることが

期待できます。

 

 

パニックが落ち着くと言うことは、

患部がそれ以上広がるのを

防ぐことにもなります。

 

 

まずは精油。

ヴァラ―というブレンドオイルを

左手に取り、痛めた右中指を包みます。

 

 

患部が落ち着いてきたからでしょう、

3分ほどの内に

腕~肩にかけての力が抜けました。

 

 

エアコンに巻き込まれた瞬間に

反射的に手を引っ込めた際に、

腕に力が入ったんですね。

 

それと、

驚いたせいで腰も力が抜けて

浮ついた感じでしたが、

それもふっと下に降りました。

 

 

腰が落ち着くと、

気持ちも落ち着きました。

 

 

指の状態を再度確認してみると、

関節はグラグラしていたのが止まり、

 

 

皮膚や筋肉組織も

ズルズル動いて遊ぶことはなくなり、

骨の表面で安定しています。

 

 

ここに、さらに

音叉を当ててみました。

 

 

音叉を3回、

患部の上で振動させます。

 

 

細かい振動が伝わると、

最初は痛みを感じます。

3回目にはそれが治まり、

指先の輪郭がはっきり

意識出来るようになって来ました。

 

 

処置の直後は、指先の皮膚感覚は

マヒしていましたが、

30分経って

軽い痛みと共に感覚も戻りました。

 

 

5時間経った今、

かれこれ2時間以上

PCに向かっていますが、

 

 

中指の痛みが気になって打てない・・・

なんてこともないです。

 

 

話は少し変わりますが・・・。

 

 

今の世界では、災害が増えて、

いつ何時ケガをする可能性や

ケガをしている人を

介助する可能性が

高くなっていると思います。

 

 

そんな場面に会わないに

越したことは無いけれど、

もし出会った場合には

自分に何が出来るのか 🙄

そんなことをよく考えます。

 

 

音叉も精油も軽く持ち運べるもの。

そして、誰でもかなり簡単に扱えます。

 

 

こうしたお助けアイテムがあったら、

いざという時に自分にも人にも

サポートの手を容易に

差し出すことが出来るんじゃないかな~。

なんてことを、

中指を見ながら考えています 🙂