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ボルネオ、小さな冒険譚。ーボルネオ報告①(全4編)

 

コタキナバルのにぎやかな中心通り、Gaya Street.

(毎週日曜日に、サンデーマーケットが開かれる事で有名です。)

そこから少し山側に行った所に、

ホテル・ドリームテルがある。

 

ホテルの裏山には、

コタキナバルを一望できる展望台へと続く

舗道が走る。

 

前日は、その道を辿って早朝散歩へ行った。

道沿いには、赤道直下ならではの

鮮やかだったり巨大だったりする植物が

普通な顔をして生えている。

 

花の形状や色もさることながら、

アリの顎が見事に強そう。 ↓

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下の写真はクワズイモ。

左の女性の身長は180センチ近く。

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こちらは、山裾にそびえ立つ巨木。

一本で立派なジャングル。

 

下の写真は、

展望台の辺りから見たコタキナバル方面。

入江の向こうには、今も残る

フィリピン系部族の水上集落が見える。

 

豊かな自然や文化を保持しながら、

一方で都市化も進んでいる。

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この日は、一人で散歩へ。

昨日通った展望台へ向かう道の途中に、

山の上へと続く古びた赤い手すりの階段があるのが、

目に飛び込んでくる。

 

一見薄暗く、踏み込むのをためらう雰囲気。

でも、何となく気になる。

冒険心をくすぐられる。

 

昨日の散歩では、今回のボルネオ行の目的である

研修に一緒に参加している友人と通りかかったが、

嫌な感じがする道だからと

のぼらずじまいだった。

 

どうしようかと考えていると、

現地の青年たちが音楽を聴きながら下って来るのに

ちょうど出会った。

彼らのリラックスした様子を見ると、

どうやら危険な道ではないらしい。

 

この道はどこへ行くの?

と聞くと、イスタナへ続く道だという。

ありがとう、と言って階段を上り始める。

(この記事を書く為に調べていて知ったのだが、

イスタナとはマレー語で宮殿を意味する言葉だそう。

かつて、宮殿のある地域だったのだろうか。)

 

手入れの施されていない荒れた道で、

頻繁に人が往来している訳ではなさそうだ。

曲がりなりにも、街灯は立っている。

 

 

 

この道が怖いと感じるのは、

機械のモーターの様な、甲高く奇妙な音が

絶え間なくしているせいもあるだろう。

耳慣れない不思議な、不気味にも感じる音。

 

機械なのか、それとも鳥なのか。

正体を確かめようと上を見ながら歩く。

 

音に近づいていくと、

ぱたりとやむ。

そちらの方を見ても、何の姿もない。

 

こちらが立ち止ると、

姿は見えないまま

また鳴り出す。

 

しばらくじっとして、耳を澄ます。

あれ~?この感じ…。

 

同じ調子の

気味の悪いモーター音に聞こえていたのが、

ちゃんと聞いてみれば始まりと終わりがある。

 

始まりは急で、終わりはゆっくりと尾を引き、

かすれながら止まる。

 

あぁ、やっぱり。

セミだ。

向こうにも小さく鳴いているのがいる。

鳴き交わしていたんだ。

 

(下の音声ファイルから、その時のセミの声をお聞き頂けます。

ウグイスに似た鳥や鶏などの鳴き声も。)

 

 

日本のセミとは、音色が全く違う。

もっと金属質で、生き物っぽい感じがしない。

 

生き物っぽい感じがしないって、

何でそう思うんだろう?

…ははぁ、そうか。

「ゆらぎ」が無い感じなのかも。

 

そう考えると、

日本のセミの声は、日本の文化と似ているなと思う。

地味で渋く、繊細なゆらぎがある。

 

きっと、ボルネオのセミの声が日本の森で鳴り響いていたら、

日本の文化はもっと違った色合いになっていたに違いない。

 

私達を囲んでいる様々な環境やその要素の一つ一つが

私たちの感受性を育み、文化を作っているのだなと、

しみじみ思う。

 

 

 

思ったよりも階段は短く、

すぐに上の道路に出た。

目の前には、神学校がある。

道路よりも一段低くなった土地に立つ

青と白を基調にした洋風の立派な建物だ。

 

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この道路は丘の稜線に沿って走っているのか、

道路のすぐ向こう側は谷になっている。

谷の底には、美しく赤い屋根の街並みが見える。

通りかかった現地の青年に聞くと、

リカスタウンという名前だと教えてくれた。

 

時刻は朝の7時すぎ。

ボルネオの今の時期の日の出は6時過ぎ。

6時半から7時ころまでは涼しく、

散歩するのがとても心地よい。

7時半頃からは次第に気温が高くなる。

 

朝靄にかすむ隣町の景色が、

夏の陽の光の中で幻想的に輝いて見える。

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路傍には

明るい陽射しを浴びて鮮明な色彩の花が咲き、

道の真ん中には、ヤシの実だって落ちている。

なんて実り豊かな大地なんだろう。

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マメ科の花も、

こんなにデッカイ。

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アサガオは、普通の大きさだけど。

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道路にヤシの実。

車の運転中に落ちて来たりもするの…?

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神学校の近くで出会ったテントウムシ。

これは、日本のよりも少し小振り。

背中の模様は十字架?(神学校だけに…。)

まさか※印じゃないよね…?(^▽^;)

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初めての国の知らない土地。

先に何があるか分からなかったけれど、

興味のおもむくままに行動してみた。

 

ほんの小さな冒険。

けれど、自分一人で行くことが出来た。

冒険のご褒美は、美しく平和な眺望。

 

先日の研修の中で

実はちょびっと凹んでいた自分の気持ちが、

(研修は施術の為の学びの場であると同時に

自己成長の場でもあるので、色々起きます。(^▽^;) )

急にぱかんと切り替わるように、

晴れ渡ったのを感じた。