馬の臨床① 馬の施術の過程と、その変化:乗用ポニー・ダンディ編 ~3月の営業予定

 

前回の記事では、

馬の施術に先立って、

 

馬体の構造について

詳しくお話ししました。

http://inemurino-ki.com/2016/01/31/space-structure-and-horse/

 

さて、いよいよ今回は

施術そのもののお話です!ヽ(^。^)ノ

 

 

と、その前に、

3月の営業のお知らせを

ちょっと挟ませてくださいね~!

 

 

 

3月の営業予定

 

3月は、21日(月・祝)、26日(土)

臨時でお休みとなります。

それ以外は、通常通り営業いたします。

 

開院時間 : 11時~20時

定休日 : 毎週水・日曜日(祝日も開院します。)

 

施術の最終受付は17:00

とさせて頂いております。

ご事情のある場合には、

17:30まで対応可能です。

ご相談くださいませ。

 

ご予約のない時間帯に関しては、

臨時でお休みとなる場合があります。

ご予約の際には、なるべくお早めに

ご連絡を頂けますと幸いです。

 

 

 

乗用ポニー:ダンディへの施術と、その変化

 

年末から年始にかけて

春のような暖かさが続き、

施術の当日も、風のない

穏やかな天気に恵まれました。

 

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昼過ぎ、

早々と梅の花が咲き始めていた

谷保天満宮へ立ち寄り、

その足で2頭のポニーが待つ

「馬飼舎」へ。

 

馬飼舎(まかいしゃ)は、

谷保の天神さまから

歩いて5分ほど。

 

国立市の中にありながら

美しい水路や

田畑の残る谷保地区は、

懐かしい日本の風景そのまま。

 

訪れるたびに、

ほっとした気持ちになります。

 

 

 

ポニーの異変

 

施術に入る前に、

ポニーたちの様子を

詳しく伺いました。

 

 

馬飼舎には、

ポニーが2頭います。

 

彼らは、おもに

国立市と日野市の幼稚園や保育園、

障害児施設などを巡って、

子供たちと交流する仕事をしています。

 

2頭の内、

1頭は黒毛のポニーで、

名前はジャック。

 

もう1頭は白毛で、

名前はダンディ。

 

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2頭は、それぞれ

受け持つ仕事が違います。

 

乗り馬として

子供たちを乗せるのはダンディ。

 

走ったり

ジャンプする姿を見せるなど、

自然の生態としての馬の在り方を

子供たちに知ってもらうのが、

ジャックの役割。

 

 

2頭への施術は、

彼らの役割の違いを

反映したものであり、

 

それぞれ施術の意味の

異なるものだったと思います。

 

そこで今回はまず、

ダンディの臨床について

お話したいと思います。

 

 

 

孤高の仕事人

 

オーストラリアの

ショーホースの血筋にある

ダンディは、

おっとりしていて、とっても真面目。

 

身体は小さいですが、

少し大きな体格の子供や

怖がっている子供だって、

背中に乗せて静かに歩きます。

 

ちょっとムッツリした感じは

あるけれど(^▽^;)、

我慢強い馬なんです。

 

人からの指示によく耳を傾け、

文句も言わずに

黙々と仕事をします。

 

 

とは言え、人との距離は

あまり近い方ではありません。

(ムッツリなだけに…)

 

ダンディとは

何度か会っていますが、

自分から人間に

ベタベタと近寄るタイプではなく、

 

触ろうとすれば触らせるものの

仕方ないな…、といった空気を

分かりやすく出している様な…(^▽^;)

 

あたかも、孤高の仕事人

と言ったところでしょうか。

 

 

 

いつもは、我慢出来るのに…。

 

施術のご依頼を頂いた時、

私はてっきり、

問題を起こしたのは

ジャックだろうと思いました。

 

役割の上からも

自由気ままでいられる

ジャックなら、

 

人間の意に沿わない行動を

起こす事も当然あるだろうと

思ったからです。

 

ところが、

問題が生じたのは、

我慢強いはずの

ダンディの方でした。

(ゴメンネ、ジャック(^▽^;) )

 

 

 

今から3か月ほど前の

2015年11月初旬。

 

何度も行っている幼稚園で、

ダンディはいつものように

子供たちを乗せていました。

 

怖がりの子が

乗る順番を迎え、

ダンディの横に置かれた

台の上に立ちます。

 

こわごわと、

何度も何度もためらいます。

 

それでも、

どうにかこうにか

ダンディの背中に

腰を下ろしかけました。

 

そのお尻が

鞍に触ったかどうかの、

まさに一瞬のこと。

 

ダンディは急に、

ワッとばかりに

前に飛び出しました。

 

パニックだったのか、

そのまま園庭も

走り回りました。

 

(怖がりのお子さんは、

飼育員さんが横から

サッと抱き上げたので、

ケガもなく無事でした。)

 

 

逃げっ放しにしておくと、

馬には逃げ癖が

つく可能性があります。

 

乗れなかった子供も、

恐怖心を持ったままに

なってしまいます。

 

再び、同じように

乗ろうと頑張ったけれど、

あえなく失敗。

 

3度目。

台は使わずに、飼育員さんが

その子を抱えて鞍に乗せ、

何とか成功。

 

 

2頭のポニーと

2人の女性飼育員とで行う活動は

10年に及びますが、

こんなダンディを見るのは

初めてのこと。

 

当のダンディはと言うと、

飛び出してしまったことに

自分でも驚いている様に

見えたそうです。

 

 

 

背景をさぐる

 

この時の様子について、

お二人から

より詳しい話を伺いました。

 

 

馬体の横にいて

子供を抱き上げた

飼育員の平島さんは、

ダンディが前に飛び出した際に、

右後肢で後ろを蹴りながら

跳ねたのを見ていました。

 

ダンディの頭方にいて

引き綱を持っていた

飼育員の緑川さんは、

ダンディが前に飛び出して

子供を怖がらせない様にと、

無口※1をグッと下に押さえました。

 

するとその瞬間、

ダンディは頭を反射的に

ビクンと挙げたそうです。

 

※1 馬を繋留したり引いて歩く時には、
引き綱と呼ばれる太くて短い綱を用います。
その引き綱は、馬の頭部~口のまわりにはめている無口【むくち】という
簡単なつくりの馬具に繋いで使用します。)

馬の無口

 

小さな動きですが、

こうして観察された動きは、

ダンディの状態を理解するための

重要な手がかりを与えてくれます。

 

一つ一つの動きには、必ず

馬がそれを行う必然性があります。

 

それがどんなに

些細なものであっても、

必ずヒントになります。

 

 

人間の施術なら、

どの部位でどんな感覚がするかを

出来るだけ詳細に聞くことで、

症状の背後に隠れた核心を

類推することが可能です。

 

その点、馬は話せないので、

動きや体調などの

馬の身体が示す現象から

類推して行くしかありません。

 

ダンディの症例では、

飼育員さん達が

日頃から細やかな視線で

ポニー達を見守っていたこともあり、

 

施術を始める前の段階で、

問題の核心が何なのかを

ある程度理解することが出来ました。

 

 

では!

実際に一つ一つの動きから

どんなことを読み取ることが

出来るのか、

 

詳しく分析して行ってみましょう!(^^♪

 

 

 

身体の動きと内的感覚

 

重要な動きは、全部で3つ

出てきました。

 

ダンディが身体を

左に回転させたことと、

 

鼻面を下に押さえられた時に

反射的に頭を挙げたこと、

 

子供を抱えて乗せた時には

我慢できた、

という点です。

 

 

身体を左に回転させたのは、

引き綱を持っている人間が

左側に立っていたため、

と考えることも出来ます。

 

馬の引き方

 

それ以外に、

馬の身体自体が、

左に回転したくなるような

歪みや緊張を持っていた可能性も

考えられます。

 

 

頭を下に押さえられて

反射的に首を挙げたのは、

どこかに痛みを感じたから

という可能性もあります。

 

他に考えられるのは、

力による制止に対して

心理的に抵抗を感じて、

拒否反応を示した可能性です。

 

ダンディは逃げる際に

お尻をはねあげていますが、

 

この動きは

「この状況は気にいらない」

という意思の表明であることが多く、

 

反射的に首を挙げた動作と

併せて、

 

気持ちの抑えや我慢が効かない

何らかの状態が、

ダンディの中にあったことを

示唆しているように思われます。

 

 

さらに、こんな話も

飛び出して来ました。

 

>そう言えば

この出来事の10日ほど前、

ダンディが馬の輸送車から

降りた時のことです。

 

見た目には分かりにくいけれど、

そこは滑りやすいように

加工された地面だったんです。

 

いつもダンディは

車から降りる時に

少し弾みをつけるせいもあって、

地面で前脚を滑らせて

横転してしまいました。

 

 

身体のどっち側を打ったか、

覚えていますか?

 

>左右どちらかは

はっきり思い出せません。

 

でも、

特に後遺症はなかったようで、

その日の障碍者を乗せる仕事は

ちゃんと出来ていました。

 

 

痛がっている様子は、

なかったんですね。

 

>はい。

 

…でも今考えてみると、

1~2年ほど前から、

少しおかしい所が

あったように思います。

 

今回のように前に飛び出る

とまでは行かないけれど、

 

引き馬をして歩いている時に、

ダンディが引き手(馬を引く人間)

を中心にして

左に回転するように

動く事がありました。

 

そう言えば、

そうやってまっすぐ歩かない時は、

ほぼ決まって、怖がりの子供を

乗せていた気もします。

 

———-

 

 

左へ馬体を回転するのは

ここ数年の間の

癖になっており、

 

それがほぼ決まって

怖がる子供が乗る場面で

起きていたという点もまた、

重要な手がかりです。

 

一方で、今回、

飼育員さんが

子供を抱えて乗せた時には、

我慢して乗せています。

 

とすると、

ダンディが緊張を感じるのは

乗られること自体ではなく、

子供が「乗る」という

動作に対してかも知れません。

 

 

怖がりの子は、

傍で見ても可哀想なくらい

緊張してコチコチです。

 

こうした緊張感を、

馬達は「はだ」を通して

感じ取ります。

 

私たち人間だって、

怒ってムス~ッとしている人が

同じ空間にいたりすると、

何だかこちらまで

ムカムカが伝染して来たり

しますよね(^▽^;)

 

その場の空気を、

「はだ」を通して

感じ取っているわけです。

 

こうした、

身体の感覚を通して

相手の状態やその場の空気を

感じ取る力に、

馬達はとても秀でています。

 

自然の中なら、草食動物の生死は

この能力に掛かって来るわけですから、

当然ですよね( ;∀;)

 

 

ちなみに、ダンディが

人間の動きの固さではなく

心理的な緊張に

反応していたと考えたのは、

 

身体を打った当日も

障碍者を乗せる仕事は

ちゃんと行えていた為です。

 

緊張している子供が、

自分の背中に乗ろうと

こわばりながら近づいてくる。

 

この時すでに、

ダンディの身体には

ピリピリとした緊張感が

生まれます。

 

このピリピリ感はまるで、

子供の一挙手一投足を

見逃さないよう、

全身が張りつめたレーダーに

なっているようなものです。

 

 

背中にまたがる瞬間、

子供の緊張は

最高潮に達します。

 

その同じ瞬間、

ダンディもまた、

「はだ」を通して

その緊張感を共有します。

 

ダンディの身体で

実際に緊張が生じるのは、

おそらく

 

子供が乗ることで

最も刺激を感じる背中か、

子供が足でつい締めがちな

お腹の横の辺りと考えられます。

 

 

…おぉっ!(゚Д゚;)

 

お腹の横の辺りと言えば、

少し前に横転して

打ったところとも重なります。

 

かなり、アヤシイですねぇ…。

 

お腹に緊張が加わることが、

重複して起きているんですね。

 

これに加えて、お腹に

もともと弱さがあったりすると、

我慢が効かずに衝動的になったのも

合点が行くんですが…。

 

 

便通の状態とかは、

普段どんな感じですか?

 

>ダンディのボロ(糞)は

水っぽくてベチャベチャか、

線維質が多くて、形がすぐに

ホロッと崩れてしまうかの

どちらかがほとんどで、

丁度いい時はあまりないんです。

 

 

…ふ~む、やっぱり。

お腹は弱かったか~。

 

どうやら、今回の問題は、

お腹の辺りの緊張が

引き金になっていた可能性が

大きそうです。

 

 

 

施術① 気持ちをほぐす

 

施術の始めに

背中やお腹などに触れて、

ダンディの反応を観察します。

 

背中や腰の方は

大人しく触らせてくれますが、

お腹の方ははっきりと

嫌がられてしまいました( ;∀;)

 

動物は、

弱い所や痛みのある所に

触られるのを嫌がります。

 

 

比較的、

馬が好むポイントである

剣状突起やおへその辺りを、

ごく軽くさすりました。

 

剣状突起は胸骨の後端で、

そのすぐ後ろがみぞおちです。

 

横隔膜が付着する部分でもあり、

緊張が生じやすい所の一つです。

 

 

剣状突起に触れると、

ダンディの表情は

わずかに緩みました。

 

鼻先も、おずおずと

伸ばし始めます。

 

 

鼻先を伸ばすのは、馬達が

気持ちの良い時に見せる仕草です。

 

馬は社会性が強い動物で、

仲間同士でグルーミングをする

習性があります。

 

この時、

お互いにキコウと呼ばれる

背骨の一番高くなっている部分を

噛み合います。

 

その為、ここを揉んだり

掻いたりされることが、

大抵の馬は大好き。

 

気持ち良く感じると、自分も

相手にグルーミングをやり返そうと

鼻先をぐ~っと伸ばしはじめ、

口をモゴモゴ動かし始めます。

 

 

…ぐ~っと「伸ばす」と言うより、

勝手に「伸びちゃう」感じの

鼻先の様子を見ていると、

 

これは「やってもらったから

やり返さなくちゃ。」

と考えて行う動作ではなく、

 

ほとんど本能に組み込まれて、

自動的にやってしまう行動に思えます。

 

ダンディの場合は、

その半本能的な反応が、

おずおずとして

ためらいがちな様子であるのが

印象的でした。

 

何代も続く

ショーホースの血筋で

よく教化された乗り馬である

と言う事は、

 

人間が出す指示に

おのずと集中するように、

訓練された意識を持っている

ということでもあります。

 

その意識の在り方が、

本能的な欲動を抑える傾向性と、

関連しているのかも知れません。

 

…おっとっと、

話が脱線しちゃった(#^.^#)

 

 

 

リラックスした気持ちを

維持しやすいように

左手は剣状突起に触れたまま、

今度は右手で背中も一緒に触り、

 

刺激の量を増やして

触られることに

慣れてもらいます。

 

右手が腰仙関節へ触れた途端、

左手が触れていた剣状突起で

ふ~っと力が抜けました。

 

左右の手で、ちょうど

腹腔を大きく包んだ状態の時に

緊張感がゆるんだ。

と言うことは…

 

馬の剣状突起と腰仙関節

 

やっぱり、問題の核心は

腹腔にあるのでしょうか。

 

 

 

施術② 身体を読み解く

 

次に、身体構造を調べると、

これを裏付ける様な状態を

ここからも見て取ることが

出来ました。

 

 

身体に生じている

歪みや不安定性(動揺)を、

細かく調べて行きます。

 

まずは、背中。

 

ダンディの頭の前に立ち、

脊柱の両脇の状態を

確かめます。

 

脊柱沿いの組織は、

後ろから前へ向かう流れを

強く示します。

 

これを便宜的に、

皮膚・筋肉・筋膜を含めた

組織全体の

前方への「変位」と表現します。

 

変位の方向性から、

骨格の歪みの状態が分かります。

 

 

下顎からお腹の下にかけても、

組織は後ろから前への変位。

 

ダンディ-背部と胸腹部のアウトライン

 

この状態から分かるのは、

ダンディが身体的には

前のめりの傾向にあった、

と言うことです。

 

身体が前のめりだと、

心理的にはいつも

追われている様な感じを伴い、

焦ったり不安になりやすい

傾向にあったと考えられます。

 

 

一方、骨盤を調べると、

骨盤は全体的に後方への変位。

 

身体全体として見ると、

腰のところで身体が前後方向に

分断されているような感じです。

 

ダンディ-骨盤の変位

 

これだと、

前のめりで焦りがちな身体に

お尻の動きが付いて来ないため、

ダンディの中では

もどかしい感じが

生じていたかも知れません。

 

心理的な焦りが

助長されやすい状態だと

考えられます。

 

 

次に、

身体の捻れも見てみましょう。

 

体幹部を調べます。

(文中では、胸郭から骨盤にかけての
胴体全体を体幹とします。)

 

体幹の上面:背中と

体幹の側面:脇腹は、

全て左へ回転しています。

 

体幹の底面は、

肋骨のある胸腔と

肋骨のない腹腔部分とを

分けて調べます。

 

胸の下では捻じれは左へ。

お腹の下では捻じれは右へ。

回転の方向が異なっています。

 

最後は、骨盤。

これも左回転でした。

 

 

体幹の後ろ半分では、

全体的に左回転です。

 

これは、左腰と左後肢に

重心が乗りやすかったことを

示しています。

 

 

一方、胸郭においては、

回転方向は複雑。

 

ちょっと整理してみると、

 

胸郭の左側面には

上下から力が集まり、

体側を圧縮する形で

力が働き、

 

他方の右側では、体側を

上下に引き伸ばすような形で

力が働いています。

 

縮まる傾向の左体側と、

引き伸ばされた右体側、

と言った状態です。

 

体幹の捻れ-ダンディ

 

これは、特に左の脇腹に

強い緊張があることを

物語っています。

 

一方の右脇腹は、

踏ん張りの効かない状態です。

 

 

全体的に見てみると、

左半身で全荷重を負うような

パターンが、

身体の構造そのものに

形成されていたことが分かります。

 

左半身の方が

支持力が強いので、

逃げる際にはおのずと

左の肢(あし)に頼ります。

 

すると、

左肢の踏み込みは深くなり、

当然、馬体は左へ回転します。

 

 

左脇腹が

縮まる傾向にあった理由として、

こんなことが考えられます。

 

馬に乗る際、

人間は馬の左側に立ちます。

 

乗り手は、左足に体重を乗せ、

右足を馬の向こう側に

よいしょっと持って行きます。

 

その為、乗った後に

意識的に体軸を正さない限り、

重心はどうしても

左に偏りがちになります。

 

怖がる子供の場合は

なおさら、

左の足に力が入りっぱなしに

なりやすいはずです。

 

こうして、左の背中には

人間の体重が

より強くかかって来ます。

 

それを、

左の前肢を踏ん張りながら

肩でグッと支え上げる…。

 

そんな風に頑張る内に、

ダンディの左脇腹は

縮まって行ったのかも知れません。

 

思っている以上に、

頑張って仕事をしている姿が

垣間見えてきます。

 

 

ところが、

こんな風にして

全身を調べて行った結果、

 

身体のバランスを乱している

根本的な原因は、

右肩関節にあることが

分かりました。

 

右肩関節には、

少しズレがあるようです。

 

 

あら~?(;・∀・)

 

問題の核心は腹腔にあると、

色んな要素が

言ってるんだけどなぁ。

しかも、右半身?

 

…推測は

間違っていたのでしょうか?

 

 

 

施術③ 原因のさらに奥へ ~身体構造の変化のプロセス

 

施術は、ここから

最も重要なプロセスに

入って行きます。

 

ダンディの身体に

何が生じていたのか。

それが、今回の問題と

どのように繋がっていたのか。

 

彼の身体自体が

その理由を解き明かしていく

プロセスです。

 

ここから先は、

ダンディの身体に

施術の進行を委ねます。

 

 

原因部分として特定した

右肩関節の、その前端にある

凹みに触れました。

ここは、上腕骨頭でもあります。

 

しばらくすると、

そのポイントから

一つの方角に向かって

流れが生じました。

 

この流れは、

肩関節に変調をおこしている

力の働きが、筋膜上に

地図の様な経路として

投影されるものです。

 

経路を辿ることで、

関節の変調の

さらに奥にある「理由」が

見えて来るはずです。

 

片手を

先ほどの凹みに置いたまま、

もう片方の手で

流れを追い掛けます。

 

右上腕骨頭前端から始まった流れは、

肩甲骨下部を横切って、

肩甲骨の後縁を辿るように

上へ向かいます。

 

辿り着いたのはキコウの

少し後方。

 

そこから今度は、

脊柱の稜線上を辿って

後方へ向かいます。

 

かなり早いペースで

移動して行きます。

 

どこまで行く気だろう?

 

腰仙関節まで一気に来ると、

ピタリと止まりました。

 

ダンディ―経路1

 

ここは、施術前に

腹腔の緊張がゆるんだ

ポイントです。

 

面白いことに、

施術前に身体に触れ

構造を調べている間に、

 

どうやら身体は自分で、

情報をある程度

整理して行くようなんです。

 

その為、こうして

最終的なプロセスに入った時には、

 

どこをどう変化させるか、

身体自身がすでにはっきりと

決めているようです。

 

施術前に触れた際に、

腰仙関節にもっと

アプローチして欲しい!と、

身体が思ったのかも知れませんねぇ。

 

 

腰仙関節で止まると、

体内で自発的な反応が

生じ始めました。

 

こうなった時には、

身体が「もういいよ」と言うまで、

変化が収束するのをひたすら

待つしかありません。

 

 

しばらくして、体幹部に

変化が現れ始めました。

 

右半身の

胸からお尻までの長さ(体長)が

縮まって行きます。

 

それと共に、体内の空間が

上へと広がって行く感触を

両手が感じ取ります。

 

腰仙関節の少し前の方で、

腰椎が上に上がって来ました。

腰のアウトラインが

変わって行きます。

 

「腰の辺りが、

上がって来た感じしますね。」

 

施術をじっと見守っていた

飼育員さんも、

変化の様子に気付いた様です。

 

…と言っても、形の変化は

普通にパッと見て分かる程、

大きなものではないんですよ!(;^ω^)

 

微妙な身体の形の変化に

気付いたと言うことは、

普段それだけ、

飼育員さん達が丁寧に

ポニー達を観察している証拠です。

 

実を言えば、10年もの間

ダンディにもジャックにも

問題が起きることなく

活動を続けているのは、

すごいことなんです。

 

それだけ彼女たちが

細やかに見守って来たからこそ

と言うことが、

観察眼の確かさからも感じられます。

 

 

 

やっと、移動再開。

背部の稜線をさらに後方へ辿り、

右の坐骨へ向かいます。

 

最初から触れていた

肩関節の前端と、

今辿り着いた坐骨とは、

胴体のちょうど端と端。

 

この2点の間で胴体全体が

一つの空間としてつながった…!

という感覚が生じました。

 

 

構造的には、もちろん

胴体は今までだって

一つに繋がっていました。

 

それが施術をしていると、

途中で流れが滞っていたり、

臓器のおさまりが悪くて

身体の中であっちこっち

向いている様な事があったりします。

 

人間の組織で例えるなら、

一つの会社組織なんだけど、

構成員たちはそれぞれ

バラバラの方向を見ていて

実はまとまっていない…。

みたいなことが、

身体の中でも起きているのですね。

 

そういった意味での「まとまり」を、

どうやらダンディの身体は

回復しようとしている様です。

 

 

2点間のちょうど真ん中の

腹部中央の奥で、

何か重たい感触があるのが

はっきりし始めました。

 

やがて、その重さは

徐々に抜けて行き、

腹腔内の空間が

軽さと明るさを回復した感覚が、

馬体に触れている手を通して

伝わって来ました。

 

 

坐骨を後にすると、

流れはさらに前へ向けて進み、

膝関節の前端まで来ると

再び止まりました。

 

膝関節の中で、

ググッと力が戻る気配が

生じます。

 

膝関節は、肘関節と

ほぼ同じ高さにあり、

肘関節と一緒になって

身体の重さを支えています。

 

膝の中で生じた変化は

体幹を持ち上げる力の

回復だったと思われ、

 

これに伴って、更に

腰のアウトラインは

上にあがりました。

 

腰仙関節のすぐ前方では

盛んに腹鳴がし始めたことから、

消化管も一緒に

変化をして行っているようです。

 

 

流れは更に前へ進むと、

右肩関節の後端へ

辿り着きました。

 

肩関節が

しっかりとし始めました。

 

膝関節とおなじように、

ここでも支持力の回復が

行われます。

 

「あぁ~、

しっかりして来ましたね。」

ふたたび、飼育員さんも

肩の変化に気付いてくれました。

 

 

いよいよ、旅も

終着点に近づいて行きます。

 

体幹をぐるりと

へめぐった流れは、

出発点の右肩関節前端へと

帰って来ました。

 

ダンディ―経路2

 

肩関節は、体幹から少し

離れた状態になっていたようです。

それが戻って行きます。

 

肩と体幹との

まとまりが回復してくると、

左の肩関節と呼応し合って

左右の肩関節の前端で

前※2を支え上げる様な変化が

生じ始めました。

 

※2 胸腔の前端で、
人間で言うところのデコルテの辺りを指します。)

 

胸の前側が

持ち上がった為でしょう、

首のアウトラインが

変わって来ました。

 

首の根元は少し下に沈み

凹んだ形になっていましたが、

 

それが持ち上がって、

首が扇形に見えるように

なって来たところで、

施術は終了になりました。

 

 

 

解題:身体の変化が意味するもの

 

ここで、少し

施術を総括してみたいと

思います。

 

身体の変化の仕方を見ると、

逆に、今まで

身体がどういう状態だったかが

見えて来ます。

 

ダンディの体幹部では、

その長さが縮まりながら

背中のラインが上へ持ち上がる、

という変化をしました。

 

ここから、

ダンディの背中は

本来よりも少し下に沈み、

 

その分、

体幹の筒型構造は

上から押されて

少しひしゃげたような状態に

なっていたと考えられます。

 

ダンディの身体が

起こしたかった変化は、

 

胸腹腔に空間的な広がりを

回復することと、

 

それに伴って

肩身の狭い思いを

していたであろう消化管に、

 

居心地の良さを

取り戻すこと、

だったのではないでしょうか。

 

施術中、

盛んにダンディのお腹が

鳴っていたのは、

 

自分が居るべき空間の

広さを取り戻した消化管が、

おもわず漏らした

安堵の声だったのではないか

と思います。

 

 

ちなみに、右肩と膝で

体幹を支える力が

弱まっていたことと、

 

右体側では

胸郭を上下に引き伸ばすように

力が働いていたのは、

 

もしかしたら

横転した際に

右半身を打ったため

だったのかも知れません。

 

 

 

むすび:ダンディに現れた変化

 

ここに、ダンディの

2枚の写真があります。

 

上は施術直前。

下は施術直後。

ダンディ 施術前-1

ダンディ 施術後ー1

 

姿勢が違うので、

形の変化などはちょっと

比べにくいところが

あるのですが、

 

首の形の違いは

分かりやすいと思います。

 

首と言うか、

タテガミですね。

 

施術前では、

タテガミのラインはわずかですが

下向きに弧を描いています。

施術後では、上に丸みを描く

扇形になっています。

 

お尻の形も

施術後ではきれいな丸で、

その分、尾の付け根も

高い位置にあるようです。

 

重心は、施術前では

肩関節の辺りにありますが、

施術後では身体の中央付近に

移っているように見えます。

 

 

何よりも注目すべきなのは、

毛並みです!(*’▽’)

 

特にブラシ掛けなどは

していないのですが、

 

施術後には毛並みに

空気が入ったように、

フワフワになっているのが

分かるでしょうか?

 

 

身体の内部空間が

広がりを取り戻して、

 

消化管などの臓器が

狭苦しい緊張から

解放されると、

 

体内の血流や

エネルギーの循環も

変化して、

身体の「元気」の

底上げが起きる。

 

毛根の細胞だって、

元気を取り戻しやすく

なるのだろうと思います。

 

それに、心も。

 

 

施術の翌日、

飼育員の平島さんから

ダンディの様子について

早速ご報告を頂きました。

 

『…昨夜から今日にかけて

ボロがツルンとしていて、

繊維質な感じのものは皆無でした。

それはもう見事なほど。

 

とても気分良さそうに穏やかで、

ジャックへの八つ当たりも

影を潜めていました。

 

もうひとつ、

餌の食べ方がゆっくりで

食べ終えて不足のない様子。

 

昨日までは、餌のかけらを探して

ずっと小屋のおが屑を

鼻先でいじっていたのが、

今日は片足を休めて

ゆっくり昼寝してました。』(メールより抜粋引用)

 

 

穏やかで、ゆったりとして、

現状に満足を感じられている。

 

毛並みがフワフワになったように、

ダンディの気持ちにも

新鮮な空気がいっぱい

吹き込んだのかも知れないなぁ。

 

きっと。

 

 

 

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