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現実を作り出す「意図」の力とそのメカニズム

 

目次

 

 

 

 

無意識にやっている、「恐れ」に基づく選択

 

私たちは日常の中で、

様々な形で判断したり選択したりする場面に出会います。

 

もう9年ほど前になるのですが、

セッションルームの開店準備を行っていた時期のことです。

 

どんな部屋を借りるかから始まって、

壁紙の色、床材の質感、施術ベッドはどうするか…。

 

とにかく、自分で決めなくては行けないことが

次から次に出て来ます。

 

最初の内は、

あんな風にしたい、こんな風にしようか、と

色々と想像しながら選ぶのが楽しかったのですが、

 

次第に、「選んで決める」と言うことに対して

苦痛を感じるようになったことを覚えています。

 

 

 

選んで決めることが大変だと感じたのは、

「失敗してはいけない」という思いが

生じ始めたためでした。

 

沢山のものを選び、購入する中で、

「ありゃ~」と感じるような事が起きると、

同じ失敗を繰り返すまいとして慎重になります。

 

同じ轍を踏まないために、

様々なリスクを洗いざらい計算して検討します。

 

しまいには、

購入するのがどんな小さな物であっても、

 

セッションルームの雰囲気に

どんな風に影響を与えるだろうか、とか、

もっと手頃で良いものがあったりするのではないか、

いや、ここは金額よりも質を優先すべきか…。

 

なんていう迷いが、いちいち

頭の中をグルグル巡るようになり、

決断するまでに時間を要するようになりました。

 

 

 

こんな風に、私たちは日頃、

「失敗しないように」「損をしないように」

「出来るだけ適切なものを」

というような意識を持って

選択や判断に当たっていることが多いと思います。

 

それは買い物だけに限りません。

 

カフェに入って何を頼むかとか、

週末は自分の趣味と友人からの誘いの

どちらを優先したら良いのかとか、

 

彼女の言い分に賛成できないけれど、

果たして正直に言った方が良いのかとか、

 

あるいはもっと大きく、

人生の岐路に立っていて、

自分がどの道へ進んだら良いか

悩んでいる時など、

ありとあらゆる場面に当てはまります。

 

 

 

「失敗しないように」

「間違った選択をしないように」

と考えている時、

私たちの中にあるのは「恐れ」の感情です。

 

本当は、私たちには望ましい理想があり、

いつだってそれに従って

良い選択をしたいと考えているはずです。

 

でも、それに反して実際には、

私たちが選択に際して持つ「意図」は

恐れを反映している場合が多いようなのです。

 

 

 

望みに基づく前向きな意図と、

失敗を避けようとする、恐れに基づく意図。

 

(「意図」と言う言葉がピンと来ない方は、

動機や目的、ヴィジョンなど、

ニュアンスが重なる他の言葉に

適宜置き換えて読んでくださいね。)

 

意図の持ち方が異なれば、

生み出される結果にも違いが現れます。

 

その例を見てみましょう。

 

 

 

「恐れ」が現実になるメカニズム~うつ症状との関連

 

脳と言うのは、

私たちの心や意識の中にあるものを

現実化しようとして働きます。

(これは主に大脳の役割ですが、

それについてはまた書く機会がある時に。)

 

ただし、これは必ずしも

私たちが望むような形で現実化が成される

とは限らないところがミソです。

 

例えば、

こんな話をよく耳にすると思います。

 

小さい頃、母親に理不尽な怒られ方をして、

自分が母親になったら絶対にあんな風には

子供を怒らないゾ!と心に決めていたのに、

自分が母親になってみたら、

 

嫌だったその怒り方と

そっくり同じことをやっていた…。

 

 

 

脳は、私たちが「こういうのは嫌だな~。」

と思っているものも、現実化します。

 

どういうことかと言うと、

脳は私たちの意識が何かにフォーカスしていると、

それに関連する情報を収集し、分析し始め、

現実化へ向けて準備を進めます。

 

嫌だな、嫌だな、と思いながら

繰り返し同じ情景に焦点を当てて見ていると、

意識はそこで展開している事柄を鮮明に記憶します。

 

「嫌だな~」の気持ちが強ければ強いほど、

強い感情と結びついて記憶は克明になり、

より強く刻まれます。

 

「嫌だと意識する→記憶する」

という内的な作業が繰り返される内に、

思考の中にはその記憶に対応した「回路」が

出来上がって行くのです。

 

ある日、母親になった自分が、

幼少だった自分が怒られた時と

同じような状況に出くわします。

 

「同じような状況」をきっかけとして、

思考の中に出来上がっている回路は

自動的に作動し始めます。

 

そして、嫌がっていた母親の言葉が

今度は自分自身の口から飛び出る、

と言う現象が起きます。

 

つまり、望まない言動のパターンが、

知らないうちに脳の中の自動反応式の

回路として組み上がっていたわけで、

 

(厳密には、

この回路は身体の動きや感情も

要素として組み込んでいるので、

脳や思考の中だけで

形成されているわけではありません。

ここでは説明をシンプルにするために、

こうした表現を用いています。)

 

言ってしまった後で

「え~っ!?」と気付いて、

自分で愕然となったりするわけです。

 

(こうした回路も

変えることが出来るものなので、

これを読んで不安に感じた方も、

どうぞ安心してくださいね。)

 

つまり、脳と言うのは、

意識が集中しているものを

現実世界の中で何らかの形を取らせて

現出させる、

 

あるいは

意識の作用に物理的な形を用意する、

と言う役割を担っているのであって、

 

意識が集中しているその対象のものが、

私たちの良心や願望に照らし合わせて

好ましいか好ましくないか、

正しい方向性かどうか、

と識別するようなことはしてくれません。

 

もし、脳みそに

こうした自動識別装置が付いていたら、

選択することや判断することは

どんなに簡単だろう!と思いますが、

 

そうなると、今度は

私たちが持っている自由意思が

機能しないことになります。

 

自由意思を持っていることによって、

私たちは選択や判断の困難さとも

向き合うことになっているわけです。

 

 

 

上述したような、

「嫌だな~」と思っていた母親の行動を

そのまま無意識に踏襲してしまった例は、

「こうはなりたくない」という

「恐れ」に基づく意図を持っていたために、

それが現実化した一例です。

 

恐れや不信に基づいて

選択や判断が成された時、

現れる結果は自分の望んだものとは

異なっているもののように感じます。

 

この場合、

意図・選択は無意識になされているので、

現れた結果(母親の行動の踏襲)を

自分の選んだものだと認識することが

困難なためです。

 

でも、実はすべての結果=現実は

自分で選んでいるものなんですね。

 

もし、「ああいうのは嫌だな~」

と思いながら母親を見るのではなく、

「私はこういう風にありたいな。」

と理想的な姿を思い描けていたなら、

母親の行動を再現することはなかったでしょう。

 

前者は恐れに基づく意図、

後者は前向きなヴィジョンに基づく意図です。

 

 

 

私たちが選択や判断をする機会は

一日の間に何十回となくあります。

 

恐れや不信から選択することが

パターン化していると、

そのすべての機会において

様々なリスクを頭の中に並べ立て、

計算をして…

というプロセスが繰り返されることになります。

 

この思考を毎日毎日繰り返すことは

トレーニングを重ねているようなものなので、

本人としては望んでいないのに

このパターンはどんどん強化されます。

 

やがて、些細なことでも迷うようになり、

次第に自分一人では何も判断できなくなったりします。

 

これは私自身

体験があるので言えるのですが、

 

こうした思考のパターン化こそが、

現代社会においてうつ症状を作り出す

大きな原因となっていると思います。

 

では、こうしたパターンを手放して

現実を望ましいものにするには、

どのように自分の意識と

取り組んでいったら良いのでしょうか?

 

「意図」の使い方を

変えて行く必要があります。

 

 

 

 

結果を決めるのは、意図(動機)

 

意識の在り方に応じて、

私たちの目の前の現実の中に

それが結果と言う形を伴って

現れてくる。

 

こうした言説は、

成功哲学や精神世界系の分野では、

比較的よく目にします。

 

少し話が飛躍するようですが、

アメリカに心理学者でありながら

有名なサイキックヒーラーでもある

ドリーン・バーチュー女史と言う方がいます。

 

彼女は天使を見ることが出来、

対話することも出来るのですが、

その彼女の著作の中に、

 

「天使に頼んだり祈ったりする時は、

どうなりたいかだけを伝えるように。」と

いう意味合いのことを

天使から告げられたと言う記述が出て来ます。

(『新版・女神の魔法』ドリーン・バーチュー著 島津公美訳/p.209)

 

これは、望んでいる結果を思い描けば、

それを実現する方法は天使が選ぶ。

だから、私たち人間がやるべきことは

望みを明確に意図するだけということでもあり、

 

(むしろ、私たち人間の狭い視野の中で

実現に至る方法まで考えてしまうと、

かえって望みの実現を遠ざけることも

文意から汲み取れます。)

 

結果=現実を生み出す因子として

選択・行動以上に意図が重要であると言うことを、

この記述からも読み取ることが出来ます。

 

 

 

とは言っても、現実には

結果を出すには選択・行動が必要だもの。

それなら、選択・行動だって

結果に影響するよね?

と思いますよね。

 

意図や意識の在り方によって、

選択や行動は左右され、自ずと決まって来ます。

 

これも、例を見てみましょう。

 

 

 

例えば、アパートのお隣に

新しい人が引っ越してきて、

ドアの開け閉めなどの

騒音が気になるな…と思った場合。

 

音に少し気を付けてもらえるよう、

直接話しをしに行ったとします。

 

ここでの最大の目的=意図は、

静かにしてもらうことです。

 

聞いてもらう立場なので、

少し下出になるかも知れません。

 

「この建物は思ったよりも

音が響きやすいようなんです。

私も出来るだけ気を付けますので、

少し気にかけて頂けたらと思いまして。」

 

ところが、

「先住者に対する配慮が足りない」

なんて気持ちがちょっとでもあったりすると、

 

こちらの希望を聞いてもらう

という意識はうっかり消え去り、

相手を責める気配が出て来ます。

 

「音がうるさいので、

少し静かにしてもらえますか?」

 

…ありゃ~(;^ω^)

 

意図の持ち方・意識の在り方は、

選択や行動(言動)に

目に見えぬ形で影響を与え、

それらを自ずと決定づけます。

 

 

 

恐れによって、現実化の過程はゆがむ

 

と言うようなわけで、

何らかの結果が生まれてくる

現実化のプロセスを考えると、

 

まず、

それをやることで自分が何を得たいのか、

その意図(目的・ヴィジョン・動機)を決めて、

それに従って選択・行動が成されることで

そこに結果が自ずと生じてくる。

 

意図→選択・行動→結果、

こういう順序になる訳です。

 

ここで、もし意図の中に

「恐れ」が紛れ込んでいる時には、

前向きで自発的であるべき

意識的な意図の代わりに、

恐れが作り出す言わば「妄想」が

結果を生み出す因子として作用し始めます。

 

 

 

先ほど、選択・行動は

意図や意識の在り方に

影響を受ける、と書きました。

 

前向きな意図の場合、

選択・行動も前向きになるので、

方向性は同じです。

 

一方、

恐れによる妄想の場合は、

 

現実がその妄想通りになるのを

避けようとして

選択・行動がなされるため、

 

意図(この場合は妄想)と

選択・行動の示す方向性は、

逆の向きになります。

 

意図と選択・行動の関係性が、

ここでは歪んでしまっています。

 

 

 

さらに、これらの結果として

現れる現実を比べてみると、

 

前向きで意識的な意図の場合は

選択・行動も前向きでしたから、

結果もそれに準じて現れます。

 

仮に思ったような結果ではなくても、

因果関係がすっきりしているので

次に取るべき行動がすぐ分かり、

がっかりしたり凹んだりすることも

あまりないかも知れません。

 

一方、

恐れによる妄想の場合、

選択・行動は妄想とは逆方向でしたが、

「現れる結果は意図に従う」わけなので、

結果・現実は妄想に則したものになります。

 

ここにもまた、歪みが生じています。

 

このようにして、

意図、選択・行動、結果の間の

関係性が歪み、

それぞれの方向性に混乱が生じた時、

 

私たちの目の前に現れる「現実」は、

私たちの手には負えない

コントロール不能のもののように

見えて来るのです。

 

 

 

 

現実化の過程を正常化するには

 

では、私たちが

「意図→行動→結果」の間に

健全な関係性を取り戻すには、

どうしたら良いのでしょうか?

 

この関係性に秩序を取り戻すには、

日々の努力が必要になります。

 

そもそもの原因は、

日々の選択・判断の際に

無意識に「恐れ」と

繋がっていたことにあります。

 

と言うことは、

すべての選択・判断を

前向きな意図から行うように

変えて行くことが出来れば、

「意図→(選択・判断)行動→結果」の間には

秩序が戻るはずです。

 

(意図を明確にする際に、

そこにどうしても恐れが入る

ということもあると思います。

 

意図そのものをクリアにする為には、

恐れと向き合う取り組みも大切です。

恐れの感情を手放す方法については、

以下の記事を参考にしてくださいね。)

天使に願いを~ネガティブな思考や感情を楽しんで手放す方法/1~2月の営業予定

 

 

取り組むのは、

どんな些細なことでも構いません。

 

例えば、

この仕事を今日中に仕上げないと、

と言うようなシチュエーション。

 

今までは

「できなきゃ上司に叱られる」

と思っていた(無意識の妄想)所を、

 

思い通りに仕上がって

満足している自分の姿を

思い描いてみる(意識的な意図)、

というような具合です。

 

あるいは、

それを受け取ったお客様が

満面の笑顔になっているのを意図する、

というのも良いですよね。

 

 

 

日常的に行っている

ちょっとしたストレッチだって、

 

「ここが固いんだよな~。

やっぱり伸びないな~。」

と思いながら(無意識の妄想)やるのと、

 

「これをやると、流れが良くなって

身体が柔らかくなるはず。」と信頼して、

それを意識的な意図として行うのとでは、

実際に身体の反応も異なります。

 

どんな些細なものであっても、

行動する際にはそれに先立って

こうした前向きな「意図」を

自分の中で思い描く、

 

それを徹底して行うことが出来れば、

意図→行動→結果のプロセスが

秩序を取り戻すだけでなく、

 

先の例で挙げたような

母親の負のパターンを再現するような

自動反復の思考の回路も、

健全な形で書き換えられて

行くだろうと思います。

 

 

 

起きる現実に、信頼を持つ

 

ちなみに、

自分が本当に望んでいることを

まず意図する習慣が出来ると、

結果にも頓着しなくなります。

 

なぜかと言うと、例えば

望まない結果が出てきた場合でも、

それを見て

「なぜ失敗したのか?」と

後ろを向いて考えるのではなく、

 

自分は本当はどうしたかったのか、

本当に望んでいたものは何だったのか、

ということが自分の中でより明確になり、

結果を飛び越えたさらに先へと

目線が行くからです。

 

現れてくる結果は、

自分がいかに失敗したかを

責める材料ではなく、

 

目的を再確認するため、あるいは、

自分の本当の望みが何かを、

より深く理解するために

存在するようになります。

 

 

 

また、望ましい結果を意図することは、

その結果が起きることを

結果に先んじて信頼することでもあります。

 

つまりこの取り組みをすることは、

まず信頼の気持ちを持つこと、

そして結果の如何に関わらず、

その信頼の中にいられるようになる、

と言うことを目指すことにもなるのです。

 

 

 

 

「意図」の持つ本当の重要性:バウンダリ―の強化と、本質的な自己との一体化

 

実は、「意図」の重要性は

意図自体にあるのではなく、

 

意図をするということを通して

2つの重要なことが

可能になる点にあると思います。

 

その一つ目は、

自分自身への信頼を回復し、

自分と他者の世界の間に

健全な線引きをすることが出来る点です。

つまり、自己のバウンダリ―の強化です。

 

自分への信頼を失い

自己不信を深めて行く時、

 

私たちは無意識的に、

自分の取った選択や行動が

間違っていたのではないかと、

自問を繰り返します。

 

そして、

もしかしたらその選択や行動に

利己的な気持ちや自己防衛、あるいは

邪な考えが入り込んでいたのではないか、

と自分の心の中を疑い始めると、

 

自分自身に対する信頼は急速に、

根本から揺らいで行きます。

 

ですがもし、選択・行動をする前に

自分の意図を意識的に把握する習慣を

身につけることが出来れば、

このような形で自分自身を疑うことはなくなり、

自分への信頼が増して行きます。

 

また、自分が前向きな良き意図から

選択・行動したことを自覚していれば、

仮に他の人がそれを否定的に見たとしても、

それはその人なりの受け止め方として

割り切って考えることが出来ます。

 

こうして自分と他者の世界の間に

適切な線引きをすることが出来るので、

他者の世界の中にある

本来は他者自身が向き合うべき問題を、

不必要に抱え込んでしまう様なことから

自分を守ることも可能になります。

 

 

 

二つ目は、

意図をするということを通して、

私たちが一日の内に何度も

高い次元の自己と繋がる機会を

持つことが出来る点です。

 

前の章の最後に述べた、

「結果を見る前に

まず結果を信頼する。」

 

これは高い次元の意識の在り方であり、

全ては調和の中に現れてくる、

ということに対する信頼でもあります。

 

 

 

私たちが何か選択をする時、

そこで考えられる選択肢は

大抵の場合、複数あります。

 

その選択肢の一つ一つには、

その選択を行った「私」がいます。

またその「私」の数だけ、世界もあります。

 

つまり、選択肢の数だけ

幾人もの「私」が同時に存在し、

また幾つもの並行世界が存在していると

考えてみて下さい。

 

もし、恐れに屈して

選択肢Aを選んだ時、「私」は

恐れの中に住み、視野の狭まっている「私A」と、

 

結果を信頼する前向きな意図で

選択肢Bを選ぶ時は、「私」は

今の自分よりも開けた視野を持つ

高い次元にいる「私B」と、

 

それぞれの機会の中で

一体化することになります。

 

 

 

一日の中で何度も行う「選択」において、

すでに高い次元の並行世界にいる

自分自身と繋がることを

繰り返し意図することが出来たなら、

 

私たちは日常の地道(地味(;^ω^))な

取り組みを通して、

高い次元の自己であり本質的な自己である

ハイヤーセルフへと、

私たち自身を近づけて行くことが

出来ると思うのです。

 

 

 

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▲目次にもどる

つわりは、胎児の苦しみの反映③

 

目次

・個体発生は系統発生を繰り返す

・胎児は「上陸劇」を体験する 」①

・胎児の変容に関する三木成夫氏の研究

・発生過程は、折り紙に似ている

・つわりと、胎児が体験する「上陸劇」 」②

・生物の体を変えた、重力の作用

・母体が「上陸劇」を共有するメカニズム─筋膜的試論

・重力と歪みとつわり

・つわりに個人差があるのは、なぜか  」③

 

 

▼生物の体を変えた、重力の作用

 

「上陸劇」の最中にいる胎芽は、

生後4日目のニワトリの胎仔と同じ位で、

小指の爪の半分以下の大きさ。

胎芽(=胎児)を包む胎嚢で

5~13mm程度の大きさとのことです。

 

それにしても、

そんなにも小さな胎芽が、

大きな母体全体を揺るがして

「つわり」を引き起こすような力を、

どうしたら持つことが出来るのでしょうか。

 

何度も繰り返しますが、

三木成夫氏は、胎芽の変容過程を

生物の「上陸」を再現するドラマと表現しています。

 

生命進化における上陸のドラマでは、

重力の影響が生物の身体構造に大きく影響を与え、

その結果として呼吸の仕組みが

エラから肺へと大きく変化しました。

(詳細を知りたい方へのお勧め記事:

http://nishihara-world.net/app/Blogarticleview/index/ArticleId/29

 

 

 

胎児の変容の過程は、

遺伝子情報の中にシナリオとして組み込まれ、

それに沿って自動的に進行されるもの。

そういう印象を、私自身は持っていました。

 

つまり、時間さえ経てば

放っておいても始めから終わりまで展開される、

手間のかからない正確なプロセス、

というイメージです。

 

ですが、つわりが

その変容過程と密接に関わるとすると、

ただ単純に順を追って

さらりと再現されていくプロセスなのではなく、

 

周囲の環境をも

強烈に巻き込んで再現される、

思った以上に大掛かりな

生命ドラマだという事を

示している様に思えます。

 

周囲の環境と言えば、すなわち

母胎であり、母体です。

 

そしてそこに、

生物の体を大きく変化させた重力が

重要な要素として

関わって来るのではないかと思うのです。

 

 

 

▼母体が「上陸劇」を共有するメカニズム─筋膜的試論

 

私たちの身体は、

結合組織を中心とした膜構造によって

柔軟性を持ちつつ安定的に支えられています。

 

膜構造を通して見る身体は、

がっちりとした物質的構造というよりも、

むしろ「空間」として現れて来ます。

すなわち、空間構造としての身体です。

 

身体構造を支持しているのが

「膜」であることから、

体内空間では圧力の変化が容易に起こり、

またその調整が絶え間なく行われています。

 

上陸の際には、

生物の構造は重力の変化をきっかけとして

両生類へと大きく変容を遂げた訳ですから、

 

それを再現するには、胎嚢の中でも

同じような重力変化を

必要とするのではないかと思います。

 

とは言え、それは

全く同じ条件や環境である必要はなく、

「重力で作られるような

位置エネルギーの場があれば良い」わけです。

(中田力『脳のなかの水分子』p111 )

 

 

 

胎児の変容を促すには、

ホルモンなどの化学的な刺激が

その大きな役割を担っています。

 

ですが、ここでは化学的な作用ではなく、

物理的な刺激の方へ

焦点を絞って話を進めたいと思います。

 

物理的な刺激は、

私たちも身体で感じ取りやすいものであり、

直接的な感覚として理解し易い面があります。

 

生理化学的な側面への理解は大切ですが、

そこからは生身の生命同士の関わりは

実感しにくいものです。

 

母親は、つわりを通して

胎児の苦しみを共有しているのであれば、

それはもっと実感を伴った

直接的な仕組みによるのではないかと思うのです。

 

 

 

胎芽は、卵膜(羊膜、絨毛膜、脱落膜)の

前身である胎嚢(たいのう)に包まれ、

その空隙は羊水が満たしています。

 

羊水の分泌と水量の調整は、

羊膜によって行われています。

 

この時、羊水が減少すれば

胎嚢は陰圧で内に引っ張られて緊張を帯び、

あるいは胎嚢の収縮が生じれば、

胎嚢の内部空間では圧力が高まります。

 

残念ながら、

胎嚢内の羊水圧の変化については

それに関する研究を見つけることが出来ませんでした。

(血眼に探した訳じゃないので、

本当はあるかも知れませんが~(;^ω^))

ですので、あくまでこれは私の想像と

臨床での「膜」組織に対する感覚的な理解に基づいた、

試論です。

 

羊水圧が変化すると仮定して、

その理由としてはこんな事が考えられそうです。

 

胎芽で生じている変容は、

胎嚢内の空間に歪みを生み出します。

また、羊水の対流を引き起こすはずです。

これが、胎嚢に緊張を生む、というのが一つ。

 

またこの頃には、

心拍が確認できるようになります。

心拍の強く規則的な振動が加わることで、

胎嚢の強度にも変化が生じるかも知れません。

 

こんな風に、

胎嚢が帯びる緊張や収縮の増加、

あるいは胎嚢の強度が変われば、

胎嚢内の圧力は高まります。

 

上陸の際に生物が味わった重力変化は

疑似的に再現され得ると考えられます。

 

 

 

胎嚢を形成している3つの膜の内、

脱落膜は母体由来の組織で、

羊膜と絨毛膜は

胎児の中胚葉由来の組織です。

 

中胚葉とは、初期受精卵の中にあって

後に皮膚や筋肉、筋膜となる組織です。

つまり、身体の最外側にあって、

外界との境界面を担う役目を持ちます。

 

この様に、胎嚢では

胎児と母親由来の組織が

互いに密に向き合っている状態にあります。

 

受精卵がどんなに小さくても

そこでもし圧力変化が生じれば、それは

母子のいわば接触境界である胎嚢から

子宮内膜に伝わり、

母体全体に伝播するはずです。

 

この時、圧力刺激を伝達するのは

筋膜を中心とする

結合組織のネットワークの役割です。

神経よりも速いスピードで、

全身に情報を伝達します。

(参照:https://www.youtube.com/watch?v=uzy8-wQzQMY)

 

 

 

▼つわりと歪みと重力と

 

胎嚢で生じた圧力刺激が

つわりの諸症状に変換される理由は、

以下の様に考えられそうです。

 

ここからは、少し

突飛な話に感じるかも知れませんが、

本人的には至って真面目にお話します(;^ω^)

 

 

 

主なつわりの症状を見ると、

吐き気、嘔吐、味覚や嗅覚の変化、

胃や胸のむかつき、唾液の増加など、

様々ありますが、いずれも

身体の正中線上で起きている事が分かります。

(参照:http://www.marienremedy.com/column/c1060/c0004.html

 

そして、子宮もまた

正中線上に位置しています。

 

5~13mm程の胎嚢内の変化は、

現実的な物理力として母体に作用するには

あまりに小さすぎて、

とても想像しにくいことだと思います。

 

おそらくは、

物理的な力による押し引きと言うよりも、

胎嚢で生じている「歪み」が母体に伝わり、

 

その「歪み」の感覚が、

私たちの正中線に作用する「重力」を重くさせ、

そこに位置する臓器に

影響を与えると思われます。

 

これには、もう少し説明を加えますね。

 

「重力」とは、空間に「歪み」を生む力です。

これはアインシュタインが説いたことで、

惑星などの大きな質量を持つものを想定して

考えられた理論です。

(参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

 

ところが、私たちの身体の中でも、

この「重力」と「歪み」の関係性を

みる事が出来ます。

 

(これは、

筋膜と言う「膜組織」を通して施術を行い、

空間構造として身体を捉えていることで、

分かって来たことです。

一般的な考え方ではありませんので、

ご注意くださいね(;^ω^))

 

 

「重力と歪み」の実例を~

 

 

 

▼ホログラフィックな身体

 

もう一つ考えられるのは、

私たちの身体が持つ

ホログラフィックな性質です。

 

例えば、リフレクソロジーなどは、

足裏に全身の情報が投射されていると

考えています。

 

東洋医学では、舌診と言って

舌の様子で全身の状態を診ます。

 

以前、血液観察会に参加した時には、

血液一滴の中に全身の情報が入っていると

教えてもらいました。

 

私自身も、施術の中で

頭部で起きている歪みや捻じれは

胴体でより大きく分かりやすく展開されますし、

胴体で起きている変調もまた、

頭部に同じ形で現れるということを

経験しています。

 

 

 

 

 

それがホログラフィー的に

母体全体に展開されている

 

 

 

 

 

 

その後の約3週間、妊娠8~11週目は、

母体につわりが生じやすい期間となります。

 

胎児は、人として必要な「形」を

第7週までに備え、

次の3週間ではいよいよ

 

それまで母親が補完してくれていた機能を

各器官でしっかり果たせる様に、

急速に成長が進んで行きます。

(参照:『こうして生まれる』アレグザンダー・シアラス p.224)

 

こうした急激な成長を受けて、

この期間は卵膜の内圧も歪みも

刻々と変化すると考えられます。

 

その目まぐるしい変化が、

母体につわりを生じやすく

させているのではないでしょうか。

 

 

 

▼つわりに個人差があるのは、なぜか

 

つわりは強く出る人もいれば、

軽くて済む人もいます。

 

出方の個人差が大きい理由は、

一つには

①受精卵の着床の位置の違いと、

もう一つには、

②子宮の状態の違いが考えられそうです。

 

②の方から説明しますと、

例えば子宮に緊張が無く、

内側で育っていく胎児の変化を

子宮がリラックスした状態で受け止められるなら、

つわりは強く出ずに済むと思います。

風を、飛ぶ力に変える。ー10月の営業日

 

◆ 翅の構造に見る、自然の妙技

 

もう1ヵ月も前の話ですが。

 

山道を散歩中に、美しい翅を拾いました。

陽に透かして見ると、薄いセロハンのような質感。

でもセロハンよりもずっと滑らかなのでしょう、バリバリしません。

これは、セミの翅。

付け根の方には美しい青緑の挿し色があって、

ヒグラシのものだと分かります。

image

翅には、

翅脈と呼ばれる黒い線が走り、模様を描き出します。

 

蝶では、羽化する時にこの翅脈の中に液体が流れ、

翅が広がるのを助けるそうです。

ただの黒い模様、というだけではなさそうです。

 

拾った翅をよく観ると、

翅の先端部では黒い線がとても細かく、沢山入っています。

線は、翅の縁にたいして垂直方向に並んでいます。

image

模様全体を観ると、付け根の方が目が大きく、

先端に行くほど小さくなっています。

 

蝶の場合は液体が流れる訳ですから、

翅脈は管構造です。

 

写真をご覧頂くと、一番太い翅脈は折れてしまっていますが、

折れ方を見ても管であることが分かります。

セロハンに似た透明の部分に比べると、

強度があることになります。

 

その強度のある翅脈が、先端に細かく集まっている。

縁に対して垂直ということは、

翅の下を流れる風の向きと合っているはずです。

 

ははぁ、なるほど。分かったゾ。

 

もし先端がセロハンだけなら、

風を受けた時に先端部分はバタバタと波打つはず。

風を受けて飛ぶどころか、

風の勢いで翅が撚れたり、よじれたりするでしょう。

翅の形を保つことも出来ないかも知れません。

 

人間の目からは単に黒い線にしか見えない細かい模様でも、

強度を持つ管。

 

それが先端に細かくあるなら、

翅の下を通る風を、秩序正しく翅先から抜けるように

誘導することが出来るでしょう。

 

それに加えて、

先端に行くほど模様が小さくなることで、

翅の下を通る風は先端の方に行くほど抵抗を受け、抜けにくくなります。

つまりこの模様のお陰で、風は一時、翅の下で滞留するわけです。

翅は風をはらみ、セミ自身を風に乗せることが出来ます。

 

こうして、体力を出来るだけ使わずに、

翅の構造を活かして、風を飛ぶ力に変えているのか~。

ふぅ~む(=゚ω゚) 💡

 

 

 

◆10月の営業予定

 

と、このようなセミの話、

夏の間にブログにアップせねば~と思いつつすでに9月も終わり、

あっという間の10月です!

 

ここからは、10月の営業のお知らせになります。

今月は、5月と同様に札幌へ行って勉強して参ります。

エネルギー的な手法を用いて、体表から内臓へアプローチする訓練をして来ます~。

 

その為、10月18日~23日という長丁場で

neMu no ki をお休み致します。

 

その代わりとして、通常はお休みとしている水曜日・日曜日で

臨時の営業を予定しています。

 

臨時営業日としてご予約を承るのは、

12日(日)、26日(日)、29日(水)です。

 

営業日数が少ない事もあり10月は混み始めていますので、

もし施術を受ける予定を立てていらっしゃる場合には、

なるべく早めにご連絡を頂ければ、と思います。

 

それでは、皆様のご来院をお待ちしています(^人^)